成人のパーソナリティ障害への治療介入で正しいのはどれか。
- 薬物療法は有効である。
- 家族との連携を控える。
- 早期に診断して患者に告知する。
- 秩序を乱した行動に対して何も言わない。
- 自傷行為などが頻回な場合は電気けいれん療法を行う。
解答解説
正解は1です。
薬物療法は、パーソナリティ障害の直接的な治療法ではありませんが、症状に応じた適切な使用により、併存する抑うつ、不安、衝動性、自傷行為などの症状の緩和に有効です。治療は心理療法を中心に行われますが、補助的に薬物療法を併用することが効果的です。
選択肢の解説
- 薬物療法は有効である。
正解です。パーソナリティ障害そのものを治療する薬物はありませんが、症状に応じて抗うつ薬、気分安定薬、抗精神病薬などを使用することがあります。たとえば、境界性パーソナリティ障害の衝動性や不安には効果的です。 - 家族との連携を控える。
誤りです。家族との連携は治療の重要な要素です。患者の行動パターンや感情を理解するため、家族への教育や支援を行い、治療に協力してもらうことが推奨されます。 - 早期に診断して患者に告知する。
誤りです。パーソナリティ障害の診断を患者に直接告知することは慎重に行う必要があります。患者が自己を否定的に捉えたり、治療に対する抵抗感を強める可能性があるため、診断名よりも症状に焦点を当てた説明が重要です。 - 秩序を乱した行動に対して何も言わない。
誤りです。患者が秩序を乱した行動をとった場合には、その行動が他者や自分に与える影響について適切にフィードバックを行うことが必要です。これにより、社会的な行動の改善を促します。 - 自傷行為などが頻回な場合は電気けいれん療法を行う。
誤りです。電気けいれん療法(ECT)は、うつ病や双極性障害の治療に用いられますが、自傷行為に対して一般的に行われる治療法ではありません。自傷行為には心理療法や薬物療法で対応します。
ワンポイントアドバイス
パーソナリティ障害の治療は心理療法(例:弁証法的行動療法、認知行動療法)が基本ですが、補助的に薬物療法を併用することで症状の安定化が図られます。また、家族との連携を重視し、患者の社会的適応を支援することが重要です。診断名の告知や対応は慎重に行い、患者の信頼を築くことが治療の基盤となります。