第54回

第54回理学療法士国家試験 午前問題40

超音波療法で正しいのはどれか。

  1. 強度は0.5〜2.5 W/cm²が推奨される。
  2. 透過深度は周波数に反比例して浅くなる。
  3. 照射される超音波は小さな導子ほど拡散する。
  4. ビーム不均等率が高い場合、導子をゆっくり動かす。
  5. 温熱効果を目的とする場合には照射時間率5%を選択する。

解答解説

正解は1. 強度は0.5〜2.5 W/cm²が推奨される3. 照射される超音波は小さな導子ほど拡散するです。

解説

超音波療法のポイント

超音波療法は、高周波音波を体内に照射することで、深部組織の温熱効果や非温熱効果を得る治療法です。治療目的に応じて、周波数、強度、照射時間率(Duty Cycle)、導子の大きさを調整する必要があります。

  1. 強度は0.5〜2.5 W/cm²が推奨される(正解)
    • 一般的に、超音波療法での推奨強度は0.5〜2.5 W/cm²です。
    • 温熱効果を目的とする場合は1.0〜2.5 W/cm²が使用されます。
  2. 透過深度は周波数に反比例して浅くなる(誤り)
    • 周波数が高いほどエネルギーは表層に集中し、透過深度は浅くなります
    • 周波数が低いとエネルギーは深部に到達し、透過深度が深くなります。したがって「反比例して浅くなる」は誤りです。
  3. 照射される超音波は小さな導子ほど拡散する(正解)
    • 小さな導子では超音波エネルギーが拡散しやすく、照射範囲が広がります。一方、大きな導子ではエネルギーが集中し、局所的な効果が得られます。
  4. ビーム不均等率が高い場合、導子をゆっくり動かす(誤り)
    • ビーム不均等率(BNR: Beam Nonuniformity Ratio)が高い場合、エネルギーが一部に集中するため、導子を速く動かしてエネルギーを均等に分散させる必要があります。
  5. 温熱効果を目的とする場合には照射時間率5%を選択する(誤り)
    • 温熱効果を得るためには、照射時間率(Duty Cycle)は100%(連続波)に設定します。
    • 照射時間率5%は非温熱効果を目的とした極端に低い設定であり、温熱効果を期待することはできません。

選択肢の解説

  1. 強度は0.5〜2.5 W/cm²が推奨される(正解)
    • 推奨範囲内であり、正しい記述です。
  2. 透過深度は周波数に反比例して浅くなる(誤り)
    • 周波数が高いほど浅く、低いほど深くなるため、記述が不正確です。
  3. 照射される超音波は小さな導子ほど拡散する(正解)
    • 小さな導子はエネルギーが拡散しやすいため、正しい記述です。
  4. ビーム不均等率が高い場合、導子をゆっくり動かす(誤り)
    • ビーム不均等率が高い場合は、導子を速く動かしてエネルギーを分散させます。
  5. 温熱効果を目的とする場合には照射時間率5%を選択する(誤り)
    • 温熱効果には連続波(照射時間率100%)が必要です。5%では非温熱効果を目的とします。

ワンポイントアドバイス

超音波療法の効果を最大限に引き出すには、治療目的に応じた強度、周波数、照射時間率の選択が重要です。特に、温熱効果には連続波、非温熱効果にはパルス波を使用する点を理解しておきましょう。