第53回

第53回理学療法士国家試験 午後問題90

神経麻痺と起こり得る症状の組合せで正しいのはどれか。

  1. 橈骨神経麻痺 ――― 下垂指
  2. 尺骨上神経麻痺 ――― Phalen徴候
  3. 前骨間神経麻痺 ――― 涙滴徴候
  4. 大腿神経麻痺 ――― 下垂足
  5. 副神経麻痺 ――― 翼状肩甲

解答解説

正解は3. 前骨間神経麻痺 ――― 涙滴徴候です。

解説

  1. 橈骨神経麻痺 ――― 下垂指
    橈骨神経麻痺では手関節や手指の伸展ができなくなり、「下垂手」を引き起こします。「下垂指」という表現は不適切であり、この選択肢は誤りです。
  2. 尺骨上神経麻痺 ――― Phalen徴候
    Phalen徴候は正中神経麻痺(手根管症候群)に関連する徴候です。尺骨神経麻痺とは無関係のため誤りです。
  3. 前骨間神経麻痺 ――― 涙滴徴候
    前骨間神経(正中神経の枝)の麻痺では、母指と示指の屈曲ができなくなり、丸を作る動作が困難になります。この状態を「涙滴徴候」と呼び、正しい選択肢です。
  4. 大腿神経麻痺 ――― 下垂足
    下垂足は腓骨神経麻痺でみられる症状であり、大腿神経麻痺ではありません。この選択肢は誤りです。
  5. 副神経麻痺 ――― 翼状肩甲
    翼状肩甲は長胸神経麻痺でみられる症状であり、副神経麻痺では肩挙上や肩甲骨回旋が障害されます。誤りです。

ワンポイントアドバイス

神経麻痺に伴う特徴的な症状や徴候は頻出テーマです。「Phalen徴候(正中神経)」「涙滴徴候(前骨間神経)」など、各神経に関連する具体的な症状を覚えておきましょう。また、「下垂手(橈骨神経麻痺)」「下垂足(腓骨神経麻痺)」などの基本症状も確実に押さえてください。