58歳の女性。5年前に子宮頸癌の手術を行った。2年前から右下肢にリンパ浮腫が出現し、弾性ストッキングを着用していた。1年前から安静臥位で右下肢を挙上しても浮腫が改善せず、皮膚が固くなり非圧痕性浮腫が認められたため、週1回外来で理学療法を実施していた。2日前に蜂窩織炎を発症し、現在、薬物療法中である。
対応として適切なのはどれか。
- 患部の冷却
- スキンケア休止
- 圧迫下での下肢運動
- 用手的リンパドレナージ
- 経皮的電気刺激療法(TENS)
解答解説
正解は1. 患部の冷却です。
解説
患者はリンパ浮腫の既往があり、現在、蜂窩織炎を発症しています。蜂窩織炎は細菌感染による皮膚や皮下組織の炎症であり、赤み、熱感、疼痛、腫脹を伴います。この場合、炎症を抑えることが最優先であり、患部の冷却が適切な対応となります。冷却により、炎症による疼痛や熱感を軽減することができます。
一方、リンパ浮腫への通常の対応(圧迫療法や運動療法)は蜂窩織炎の急性期には禁忌となる場合があります。炎症が治まるまでは安静と適切な抗菌薬治療が必要です。
その他の選択肢
- スキンケア休止
リンパ浮腫の患者ではスキンケアが非常に重要であり、蜂窩織炎が発症しても適切な衛生管理が必要です。スキンケアを休止することは不適切です。不正解です。 - 圧迫下での下肢運動
圧迫療法はリンパ浮腫の治療として有効ですが、蜂窩織炎の急性期に行うと炎症を悪化させる可能性があります。この場合、圧迫下での運動は不適切です。不正解です。 - 用手的リンパドレナージ
用手的リンパドレナージはリンパ浮腫の治療に有効ですが、蜂窩織炎の急性期には禁忌です。炎症が収まってから再開するのが適切です。不正解です。 - 経皮的電気刺激療法(TENS)
TENSは疼痛の緩和に用いられますが、蜂窩織炎による疼痛には適用されません。不正解です。
ワンポイントアドバイス
蜂窩織炎が合併した場合、炎症を抑えることを最優先に考える必要があります。リンパ浮腫に対する圧迫療法や用手的リンパドレナージは炎症が治まってから再開します。また、蜂窩織炎の予防には日頃からのスキンケアが重要であるため、感染リスクを減らすための衛生管理を徹底しましょう。