第54回

第54回理学療法士国家試験 午後問題93

急性膵炎で正しいのはどれか。

  1. 胆石が最も多い原因である。
  2. 重症例の死亡率は1%前後である。
  3. 急性期は血中アミラーゼが低下する。
  4. 膵内での消化酵素の活性化がみられる。
  5. 体幹の伸展で痛みが軽減することが多い。

解答解説

正解は4です。

急性膵炎は膵臓内で消化酵素が異常に活性化することにより、膵臓自身が消化される病態です。この自己消化作用が急性膵炎の主な病理であり、炎症や組織壊死が引き起こされます。

選択肢の解説

  1. 胆石が最も多い原因である。
    誤りです。急性膵炎の原因として多いのは胆石とアルコールですが、最も多い原因は地域や患者群によって異なります。胆石が主原因となることもありますが、必ずしも最も多いとは限りません。
  2. 重症例の死亡率は1%前後である。
    誤りです。急性膵炎全体の死亡率は軽症例を含めると低いですが、重症例では20~30%に達することもあります。合併症(多臓器不全や感染性壊死)を伴う場合に死亡率が上昇します。
  3. 急性期は血中アミラーゼが低下する。
    誤りです。急性膵炎の急性期には血中アミラーゼやリパーゼが上昇します。これらの値は診断の重要な指標となります。
  4. 膵内での消化酵素の活性化がみられる。
    正解です。急性膵炎の病態の中心は、膵内でのトリプシノーゲンなどの消化酵素が異常に活性化し、膵臓自身を損傷することです。
  5. 体幹の伸展で痛みが軽減することが多い。
    誤りです。急性膵炎では腹部の痛みが特徴で、前屈位で痛みが軽減することがあります。体幹を伸展すると痛みが悪化する場合が多いです。

ワンポイントアドバイス

急性膵炎の主な特徴は以下の通りです:

  • 原因:胆石、アルコールが主因。
  • 症状:急性腹痛、前屈位で軽減する痛み。
  • 診断:血中アミラーゼ・リパーゼの上昇、CTによる膵腫大の確認。
  • 重症化:多臓器不全や感染性壊死に注意。
    これらをしっかり把握しておくことが重要です。