第54回

第54回理学療法士国家試験 午後問題86

乳児の水頭症でみられる症状はどれか。

  1. 肥満
  2. 口蓋裂
  3. 運動失調
  4. 落陽現象
  5. 弛緩性麻痺

解答解説

正解は4です。

落陽現象は、水頭症の乳児で特に特徴的な症状です。脳圧亢進によって上方視が障害され、虹彩が下方に偏移しているため、黒目が沈んで白目が上に見えるような状態になります。この現象は、視神経圧迫や中枢神経の異常によって生じます。

選択肢の解説

  1. 肥満
    誤りです。水頭症の症状として肥満は関係ありません。肥満は他の代謝異常や内分泌疾患と関連します。
  2. 口蓋裂
    誤りです。口蓋裂は先天性疾患であり、水頭症とは直接的な関連はありません。
  3. 運動失調
    誤りです。運動失調は小脳や神経系の障害によって生じる症状ですが、乳児の水頭症では目立つ症状ではありません。
  4. 落陽現象
    正解です。この現象は、脳脊髄液の流れが阻害されて頭蓋内圧が上昇した結果、視神経周囲の圧迫や脳幹の影響によって生じます。
  5. 弛緩性麻痺
    誤りです。弛緩性麻痺は末梢神経や筋肉の障害による症状であり、乳児の水頭症の主症状ではありません。

ワンポイントアドバイス

乳児の水頭症では、頭囲の増大、前頭部の膨隆、落陽現象などの特徴的な症状が見られます。これらの症状は頭蓋内圧の上昇によるものであり、早期発見と治療が重要です。落陽現象は特に診断の手がかりとなるため、必ず覚えておきましょう。