第54回

第54回理学療法士国家試験 午後問題30

膝関節内反変形のある変形性膝関節症患者にみられる歩行の特徴はどれか。2つ選べ。

  1. 立脚相:外側スラスト
  2. 立脚相:立脚側への体幹傾斜
  3. 立脚相:立脚肢の反張膝
  4. 遊脚相:分回し
  5. 遊脚相:遊脚側の骨盤下制

解答解説

正解は1と2です。

膝関節内反変形(O脚)を伴う変形性膝関節症では、歩行時に外側スラスト立脚側への体幹傾斜が観察されることがあります。外側スラストは、膝関節の内反モーメントが強調されることで生じる現象です。また、立脚側への体幹傾斜は、痛みを軽減するために荷重を膝関節の内側から外側へ逃がす代償的な動作です。

選択肢の解説

  1. 立脚相:外側スラスト
    正解です。外側スラストとは、立脚相で膝関節が外側に瞬間的に動く現象を指します。内反変形がある膝関節では、内側の支持構造に負担がかかり、歩行時に外側スラストが生じやすくなります。
  2. 立脚相:立脚側への体幹傾斜
    正解です。体幹を立脚側に傾けることで膝関節への荷重を減らし、痛みを軽減する代償動作です。特に変形が進行した患者でよく見られます。
  3. 立脚相:立脚肢の反張膝
    誤りです。反張膝(膝関節の過伸展)は主に筋力低下や神経疾患に関連し、変形性膝関節症では通常見られません。内反変形による歩行パターンには該当しません。
  4. 遊脚相:分回し
    誤りです。分回し歩行(円を描くように遊脚肢を外側に振る)は下肢の長さの違いや股関節屈曲制限、麻痺によるものが主であり、膝関節内反変形特有の歩行特徴ではありません。
  5. 遊脚相:遊脚側の骨盤下制
    誤りです。遊脚側の骨盤下制(トレンデレンブルグ歩行)は中殿筋の筋力低下に起因します。膝関節内反変形とは直接的な関連がありません。

ワンポイントアドバイス

膝関節内反変形がある患者の歩行では、内側構造への負担軽減や疼痛回避を目的とした代償動作が多く見られます。外側スラストや立脚側への体幹傾斜はその代表例です。これらの歩行特徴を観察し、適切な理学療法介入を考えることが重要です。