第54回

第54回理学療法士国家試験 午後問題80

認知行動療法で対象となるうつ病の自動思考のうち「極端な一般化」にあたるのはどれか。

  1. そのときの感情に基づいて現実を判断する。
  2. 全てに対して白黒をつけて割り切ろうとする。
  3. 着目していることだけから短絡的に結論付ける。
  4. 「こうするべきだ」と行動を制限して自分を責める。
  5. 少数の事実から全てが同じ結果になると結論付ける。

解答解説

正解は5です。

極端な一般化は、少数の事実や限られた経験からすべてを一般化し、同じ結果になると結論付ける思考パターンを指します。例えば、「一度失敗したから自分はいつも失敗する」という思考が該当します。この認知の歪みは、認知行動療法の対象となる典型的な自動思考の一つです。

選択肢の解説

  1. そのときの感情に基づいて現実を判断する。
    誤りです。これは「感情的決めつけ」と呼ばれる認知の歪みであり、極端な一般化ではありません。
  2. 全てに対して白黒をつけて割り切ろうとする。
    誤りです。これは「白黒思考」または「二分法的思考」と呼ばれる認知の歪みです。物事を極端に良いか悪いかで判断しがちな思考を指します。
  3. 着目していることだけから短絡的に結論付ける。
    誤りです。これは「選択的抽出」または「跳躍的結論」と呼ばれる認知の歪みであり、極端な一般化とは異なります。
  4. 「こうするべきだ」と行動を制限して自分を責める。
    誤りです。これは「べき思考」と呼ばれる認知の歪みです。「~すべきだ」という規範的な考え方に縛られ、自分を責める傾向を示します。
  5. 少数の事実から全てが同じ結果になると結論付ける。
    正解です。極端な一般化に該当します。この思考の特徴は、特定の出来事を根拠に、それがすべてに当てはまると考えてしまう点です。

ワンポイントアドバイス

認知行動療法では、認知の歪みを特定し、それに気づくことから始めます。極端な一般化白黒思考などの典型的な自動思考を理解し、それぞれの特徴を区別できるようにしておくことが重要です。実生活での思考パターンを見直すスキルが治療効果に繋がります。