第54回

第54回理学療法士国家試験 午後問題78

創傷治癒を遅延させるのはどれか。

  1. 亜鉛
  2. アミノ酸
  3. 酸素
  4. ビタミンC
  5. 副腎皮質ステロイド

解答解説

正解は5です。

副腎皮質ステロイドは炎症反応を抑制する作用があり、創傷治癒の遅延を引き起こします。具体的には、炎症期におけるマクロファージや白血球の働きを抑制し、線維芽細胞の増殖やコラーゲン合成を阻害するため、肉芽形成や組織修復が遅れます。

選択肢の解説

  1. 亜鉛
    誤りです。亜鉛は線維芽細胞やコラーゲン合成に必要な栄養素で、創傷治癒を促進します。不足すると治癒が遅れる可能性があります。
  2. アミノ酸
    誤りです。アミノ酸は組織修復の材料となるタンパク質の合成に不可欠で、創傷治癒に重要な役割を果たします。
  3. 酸素
    誤りです。酸素は新生血管の形成や線維芽細胞の活性化に必要で、創傷治癒に欠かせません。低酸素状態では治癒が遅れます。
  4. ビタミンC
    誤りです。ビタミンCはコラーゲン合成を助け、創傷治癒を促進します。ビタミンC不足は創傷治癒を遅延させます。
  5. 副腎皮質ステロイド
    正解です。副腎皮質ステロイドは炎症や免疫反応を抑制するため、創傷治癒の各段階(炎症期、増殖期、成熟期)における細胞活動を抑え、治癒が遅延します。

ワンポイントアドバイス

創傷治癒の過程(炎症期、増殖期、成熟期)を理解し、それぞれの段階で必要な要因(栄養素、酸素、血流など)を把握しておきましょう。また、副腎皮質ステロイドの影響は炎症抑制の利点もありますが、創傷治癒を遅延させる欠点があるため、臨床での使用状況を把握しておくことも重要です。