第54回

第54回理学療法士国家試験 午後問題77

急性期のくも膜下出血の診断に最も有用なのはどれか。

  1. MRI T1強調像
  2. MRI T2強調像
  3. 頸動脈超音波像
  4. 単純CT像
  5. 単純エックス線写真

解答解説

正解は4です。

急性期のくも膜下出血(SAH)の診断には単純CT像が最も有用です。CTでは、くも膜下腔内に漏出した血液が高吸収域(白く見える部分)として捉えられるため、短時間で出血の有無を確認できます。急性期(発症後48時間以内)の診断において、感度が非常に高いのが特徴です。

選択肢の解説

  1. MRI T1強調像
    誤りです。MRI T1強調像は血液の診断には不適であり、特に急性期出血の評価には適していません。慢性期の病変や脳構造の評価には有用ですが、急性のくも膜下出血には時間がかかりすぎます。
  2. MRI T2強調像
    誤りです。MRI T2強調像は脳内の水分や浮腫の可視化に適していますが、急性期のくも膜下出血の診断には適していません。出血を迅速に診断するにはCTが優先されます。
  3. 頸動脈超音波像
    誤りです。頸動脈超音波は頸動脈狭窄やプラーク評価に適しており、くも膜下出血の診断には直接関与しません。
  4. 単純CT像
    正解です。単純CTは急性期のくも膜下出血の診断において最も感度が高い検査です。特に発症直後の出血は明確に描出されるため、第一選択として用いられます。
  5. 単純エックス線写真
    誤りです。単純エックス線写真では頭蓋骨や骨折の有無は確認できますが、脳内出血やくも膜下出血を直接評価することはできません。

ワンポイントアドバイス

くも膜下出血の急性期診断では、単純CTが最優先です。MRIは感度が低く時間がかかるため急性期には適さず、補助的検査として用います。また、くも膜下出血が疑われる場合、迅速な診断と治療が患者の予後に直結するため、CTの有用性を確実に覚えておきましょう。