図に示す排痰体位に対応する肺区域で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 肺尖区 (S1)
- 後上葉区 (S2)
- 上-下葉区 (S6)
- 前肺底区 (S8)
- 後肺底区 (S10)
解答解説
正解は3. 上-下葉区 (S6)と5. 後肺底区 (S10)です。
解説
この体位(腹臥位)は、重力を利用して下肺野の後方部分にある分泌物(痰)を排出するための体位ドレナージとして用いられます。主に、下葉の背側区域が対象となります。以下、各肺区域を確認します。
対象となる肺区域
- 上-下葉区 (S6)
- 下葉の上部に位置する区域で、後方に広がっています。腹臥位ではこの区域に分泌物が集まりやすく、排痰の対象となります。
- 後肺底区 (S10)
- 下葉の最背部に位置する区域で、腹臥位にすると分泌物が重力の影響で気管支に向かいやすくなります。排痰の主要な対象です。
排痰体位と重力
腹臥位では、肺後部が下方に位置するため、後方にある下葉の区域(S6およびS10)に効果があります。一方で、上葉や前方の区域はこの体位では効果が期待できません。
選択肢の解説
- 肺尖区 (S1)(誤り)
- 肺尖区は上葉の上部に位置しており、重力の影響を受けにくい部位です。腹臥位での排痰の効果は期待できません。
- 後上葉区 (S2)(誤り)
- 後上葉区は上葉の後方に位置しますが、排痰体位としては通常仰臥位や側臥位で行います。腹臥位はこの区域には適していません。
- 上-下葉区 (S6)(正解)
- 下葉の上部で背側に位置し、腹臥位での排痰体位に適しています。
- 前肺底区 (S8)(誤り)
- 前肺底区は下葉の前方に位置し、仰臥位や側臥位での排痰体位が適しています。腹臥位では効果が期待できません。
- 後肺底区 (S10)(正解)
- 下葉の最背部に位置し、腹臥位での排痰体位に最も適しています。
ワンポイントアドバイス
排痰体位は、重力を利用して分泌物を気管支へ誘導する方法です。各体位に対応する肺区域を理解しておくことが重要です。腹臥位は下葉の背側(S6およびS10)に最も効果的であることを覚えておきましょう。