第54回

第54回理学療法士国家試験 午後問題8

75歳の男性。右利き。脳梗塞による右片麻痺。右短下肢装具を装着し四脚杖を使用して介助なく20mまでの歩行が可能である。食事は左手で普通のスプーンやフォークを使用して介助なく可能だが箸は使えない。歩行と食事のFIMの点数の組合せで正しいのはどれか。

  1. 歩行6点 ― 食事5点
  2. 歩行6点 ― 食事6点
  3. 歩行5点 ― 食事6点
  4. 歩行5点 ― 食事7点
  5. 歩行4点 ― 食事7点

解答解説

正解は4. 歩行5点 ― 食事7点です。

解説

FIM(機能的自立度評価法)は、患者の日常生活動作(ADL)の自立度を評価するための指標です。運動項目と認知項目からなり、各項目が1点(完全介助)〜7点(完全自立)で評価されます。

歩行(5点)

  • 四脚杖を使用し、介助なく20m歩行可能であることから、修正自立(5点)に該当します。
  • 修正自立(5点):補助具を使用するが、他者の介助なしで安全に動作を完遂可能。
  • 完全自立(6点)は補助具を使用せずに歩行可能な場合に該当します。

食事(7点)

  • 左手でスプーンやフォークを使用し、介助なく食事可能であることから、完全自立(7点)に該当します。
  • 箸が使用できないことは食事全般の独立性を妨げる要因とはみなされず、評価点数には影響を与えません。

各選択肢の検討

  1. 歩行6点 ― 食事5点(誤り)
    • 歩行は補助具を使用しているため6点ではなく5点。食事も完全自立であり5点ではありません。
  2. 歩行6点 ― 食事6点(誤り)
    • 歩行の補助具使用により6点ではなく5点。食事は完全自立で7点に該当します。
  3. 歩行5点 ― 食事6点(誤り)
    • 食事は完全自立であり6点ではなく7点に該当します。
  4. 歩行5点 ― 食事7点(正解)
    • 歩行は補助具を用いた修正自立(5点)、食事は完全自立(7点)で、適切です。
  5. 歩行4点 ― 食事7点(誤り)
    • 歩行は補助具を用いて介助なしで完遂できるため4点ではなく5点です。

ワンポイントアドバイス

FIM評価では補助具の使用が修正自立(5点)に該当することを覚えておきましょう。また、日常生活動作の独立性を評価する際、患者が補助具を使っても問題なく完遂できれば、基本的に高い点数が付けられます。