第54回

第54回理学療法士国家試験 午後問題75

疾患と病理学的変化の組合せで正しいのはどれか。

  1. Parkinson病 ―― 大脳白質の変性
  2. 多発性硬化症 ―― 中枢神経の脱髄
  3. Lewy小体型認知症 ―― 大脳白質の虚血
  4. 筋萎縮性側索硬化症 ―― 脊髄後索の変性
  5. Guillain-Barré症候群 ―― 脊髄前角の変性

解答解説

正解は2です。

多発性硬化症(MS: Multiple Sclerosis)は、中枢神経系(脳や脊髄)の脱髄を特徴とする疾患です。免疫系の異常によって神経の髄鞘が破壊され、神経伝達が障害されます。この脱髄は斑状に発生し、視覚障害、運動障害、感覚障害など多様な症状を引き起こします。

選択肢の解説

  1. Parkinson病 ―― 大脳白質の変性
    誤りです。Parkinson病の病理学的変化は中脳黒質(特にドーパミン神経)の変性であり、大脳白質の変性ではありません。
  2. 多発性硬化症 ―― 中枢神経の脱髄
    正解です。多発性硬化症は中枢神経の脱髄を特徴とし、免疫系の異常が原因で神経伝達が障害されます。
  3. Lewy小体型認知症 ―― 大脳白質の虚血
    誤りです。Lewy小体型認知症の病理学的特徴は、Lewy小体(異常なタンパク質凝集体)が大脳皮質や脳幹に存在することであり、大脳白質の虚血ではありません。
  4. 筋萎縮性側索硬化症 ―― 脊髄後索の変性
    誤りです。筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病理学的変化は、脊髄前角や側索の運動ニューロンの変性であり、脊髄後索(感覚伝導路)ではありません。
  5. Guillain-Barré症候群 ―― 脊髄前角の変性
    誤りです。Guillain-Barré症候群は末梢神経の脱髄性疾患であり、中枢神経の脊髄前角の変性ではありません。

ワンポイントアドバイス

各疾患の病理学的特徴を整理して覚える際、部位(中枢 or 末梢)、病態(脱髄 or 変性)を軸に理解すると分かりやすくなります。特に多発性硬化症(中枢の脱髄)とGuillain-Barré症候群(末梢の脱髄)は混同しやすいので注意が必要です。