第54回

第54回理学療法士国家試験 午後問題54

中枢神経系の模式図を示す。矢印の部位はどれか。

  1. 小膠細胞
  2. 樹状突起
  3. 上衣細胞
  4. 星状膠細胞
  5. 希突起膠細胞

解答解説

正解は5です。

矢印の部位は希突起膠細胞(オリゴデンドロサイト)です。希突起膠細胞は、中枢神経系の髄鞘を形成する細胞で、図では矢印の先端で軸索に髄鞘を供給している様子が示されています。一つの希突起膠細胞が複数の軸索に髄鞘を巻く特徴を持っています。

選択肢の解説

  1. 小膠細胞
    誤りです。小膠細胞は中枢神経系の免疫担当細胞で、食作用を担います。形態としては細長い突起を持ちますが、髄鞘形成には関与しません。
  2. 樹状突起
    誤りです。樹状突起はニューロンの一部で、シナプスからの情報を受け取る構造です。矢印の部位は樹状突起ではなく、髄鞘形成に関与している細胞です。
  3. 上衣細胞
    誤りです。上衣細胞は脳室や脊髄中心管を裏打ちする細胞で、脳脊髄液の循環や交換に関与します。矢印の部位とは機能も形態も異なります。
  4. 星状膠細胞
    誤りです。星状膠細胞は中枢神経系の支持細胞で、神経細胞と血管の間の代謝を調整します。突起が血管に接している様子が図中に描かれていますが、髄鞘形成には関与していません。
  5. 希突起膠細胞
    正解です。中枢神経系で髄鞘を形成する細胞で、矢印の部位に該当します。この細胞は軸索に髄鞘を供給する役割を持ち、神経伝導を高速化する重要な機能を担っています。

ワンポイントアドバイス

中枢神経系のグリア細胞の役割を整理しましょう。

  • 希突起膠細胞:髄鞘形成(中枢神経系)。
  • シュワン細胞:髄鞘形成(末梢神経系)。
  • 星状膠細胞:代謝サポートや血液脳関門の維持。
  • 小膠細胞:免疫応答、食作用。
    これらの特徴を正確に覚えることが、問題の解答に役立ちます。