第54回

第54回理学療法士国家試験 午前問題96

うつ病に起こりやすい思考障害はどれか。

  1. 迂遠
  2. 観念奔逸
  3. 思考制止
  4. 思考途絶
  5. 滅裂思考

解答解説

正解は3. 思考制止です。

解説

うつ病では、感情や行動に加えて思考の進み方にも特徴的な障害が現れます。特に思考制止がうつ病の代表的な思考障害です。

各選択肢の解説

  1. 迂遠(誤り)
    • 迂遠とは、話の内容が回りくどく、結論にたどり着くまでに無駄が多い思考障害です。統合失調症や器質性脳疾患で見られることがありますが、うつ病の特徴ではありません。
  2. 観念奔逸(誤り)
    • 観念奔逸とは、思考が次々と浮かび、内容がまとまりなく急速に変わる状態で、躁病(双極性障害の躁状態)で見られます。うつ病では通常見られません。
  3. 思考制止(正解)
    • 思考制止は、思考の速度が遅くなる状態で、考えが進まない、何も考えられないという感覚が特徴です。これはうつ病の典型的な症状であり、患者は「頭が働かない」「何をするにも時間がかかる」と訴えます。
  4. 思考途絶(誤り)
    • 思考途絶は、話している途中で突然思考が止まり、会話が中断する状態です。統合失調症の陽性症状でよく見られますが、うつ病では一般的ではありません。
  5. 滅裂思考(誤り)
    • 滅裂思考は、思考の流れが極端に不規則で文脈がつながらない状態です。これは統合失調症や重篤な精神病性障害で見られる症状で、うつ病には関連しません。

うつ病に関連する主な思考障害

  • 思考制止:考えが進まない、思考が遅くなる。
  • 自己否定的思考:自己評価が低くなる。
  • 反復思考(反芻):同じネガティブな考えを繰り返す。

ワンポイントアドバイス

うつ病の思考障害は、患者の主観的な感覚に焦点を当てることがポイントです。思考制止の特徴を正確に理解し、躁病や統合失調症の思考障害と区別できるように整理しましょう。