人工呼吸器管理中に生じる呼吸器合併症でみられやすいのはどれか。
- 胸水
- 肺炎
- 喘息
- 肺線維症
- 慢性閉塞性肺疾患
解答解説
正解は2です。
人工呼吸器管理中の患者では、人工呼吸器関連肺炎(VAP: Ventilator-Associated Pneumonia)がよくみられる合併症です。人工呼吸器による気道挿管は、外部からの感染を引き起こしやすく、免疫力が低下している患者では特に注意が必要です。早期診断と適切な管理が予後に重要です。
選択肢の解説
- 胸水
誤りです。胸水は人工呼吸器管理中に特異的に起こるものではありません。心不全や感染症などが主な原因であり、人工呼吸器管理中に直接起因することは少ないです。 - 肺炎
正解です。人工呼吸器管理中の肺炎(VAP)は、気道内の挿管による細菌感染が原因です。挿管や加湿系統の管理不備が感染リスクを高めるため、無菌操作の徹底や早期離脱を目指すことが重要です。 - 喘息
誤りです。喘息は気道の慢性炎症性疾患であり、人工呼吸器管理中に新たに発症することは稀です。ただし、既往に喘息がある場合には注意が必要です。 - 肺線維症
誤りです。肺線維症は慢性の進行性疾患であり、人工呼吸器管理中の急性合併症として起こることはありません。ARDS(急性呼吸窮迫症候群)が進行した結果として線維化を引き起こす可能性はありますが、人工呼吸器管理に直接関連するものではありません。 - 慢性閉塞性肺疾患
誤りです。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、長期の喫煙などが原因の疾患であり、人工呼吸器管理によって新たに発症するものではありません。ただし、COPD患者では人工呼吸器の離脱が困難となることがあります。
ワンポイントアドバイス
人工呼吸器関連肺炎(VAP)の予防は、口腔ケアの徹底、挿管チューブの早期抜管、加湿装置の管理などが重要です。また、定期的な体位変換や吸引による分泌物管理も効果的です。人工呼吸器関連合併症を正しく理解し、適切な予防策を講じましょう。