第54回

第54回理学療法士国家試験 午後問題37

運動療法で正しいのはどれか。

  1. 自動運動とは重力に抗して行う運動のことである。
  2. 自動介助運動とは最小重力肢位で行う運動のことである。
  3. 等尺性運動は等張性運動よりも筋持久力増強効果が大きい。
  4. 等速性運動では低速運動の方が高速運動より大きな筋力が発揮できる。
  5. 重錘を用いた運動では全可動域にわたって筋に加わる負荷が変化しない。

解答解説

正解は4です。

等速性運動は、一定速度で負荷をかける運動であり、低速運動では高速運動より大きな筋力が発揮されます。筋力発揮の速度-張力関係により、運動速度が遅いほど筋肉が発揮できる張力は大きくなります。

選択肢の解説

  1. 自動運動とは重力に抗して行う運動のことである。
    誤りです。自動運動は、患者自身の力で関節を動かす運動を指しますが、必ずしも重力に抗する運動とは限りません。重力に抗して行う運動は抗重力運動と呼ばれます。
  2. 自動介助運動とは最小重力肢位で行う運動のことである。
    誤りです。自動介助運動は、患者が自分の力で運動を行う際、セラピストや装置が一部を補助する運動のことです。最小重力肢位(例:側臥位)は運動療法の一環で用いられることがありますが、自動介助運動そのものの定義ではありません。
  3. 等尺性運動は等張性運動よりも筋持久力増強効果が大きい。
    誤りです。等尺性運動は筋長を変えずに力を発揮する運動で、筋持久力の増強効果は等張性運動有酸素運動に劣ります。
  4. 等速性運動では低速運動の方が高速運動より大きな筋力が発揮できる。
    正解です。等速性運動では、速度が遅いほど筋収縮時間が長くなり、大きな筋力を発揮することが可能です。一方、高速運動では筋力発揮量が低下します。
  5. 重錘を用いた運動では全可動域にわたって筋に加わる負荷が変化しない。
    誤りです。重錘を用いた運動では、関節角度に応じてモーメントアームが変化するため、筋に加わる負荷も可動域によって変化します。

ワンポイントアドバイス

運動療法の各種類(等尺性、等張性、等速性)の特徴と効果を整理して覚えましょう。特に等速性運動は負荷が一定速度で加わる点が特徴で、速度と筋力発揮の関係を理解しておくと試験対策に役立ちます。