第53回

第53回理学療法士国家試験 午後問題73

安静時の呼吸運動で正しいのはどれか。

  1. 呼気時に腹圧は上昇する。
  2. 吸気時に横隔膜は下降する。
  3. 呼気時に外肋間筋は収縮する。
  4. 吸気時に気道抵抗は上昇する。
  5. 胸郭下部は前後方向の動きが左右方向より大きい。

解答解説

正解は2です。

吸気時には、横隔膜が収縮し、そのドーム状の形が平坦化して下方に下降します。 これにより胸腔内圧が低下し、外気が肺に流入します。横隔膜の収縮と下降は、安静時呼吸運動の基本的なメカニズムです。

各選択肢の解説

  1. 呼気時に腹圧は上昇する。
    安静時呼気では、筋の弛緩による受動的な肺の収縮が主であり、腹圧の顕著な上昇は起こりません。強制呼気では腹圧が上昇する場合もありますが、安静時には該当しません。
  2. 吸気時に横隔膜は下降する。
    横隔膜の収縮により胸腔が広がり、肺内に空気が流入するメカニズムは安静時の吸気の特徴です。この記述は正しいです。
  3. 呼気時に外肋間筋は収縮する。
    外肋間筋は吸気筋であり、呼気時には弛緩します。呼気時に収縮するのは、内肋間筋や腹筋群など、強制呼気に関連する筋群です。この記述は誤りです。
  4. 吸気時に気道抵抗は上昇する。
    気道抵抗は吸気時に減少し、呼吸のための空気の流入がスムーズになります。したがって、この記述は誤りです。
  5. 胸郭下部は前後方向の動きが左右方向より大きい。
    胸郭下部では、横隔膜の動きにより左右方向への拡張(バケツの持ち手の動き)が前後方向の拡張よりも大きくなります。この記述は誤りです。

ワンポイントアドバイス

呼吸運動に関する基礎知識は、解剖学や生理学で頻出です。特に安静時の吸気では「横隔膜の収縮・下降」、呼気では「筋の弛緩による受動的な肺収縮」が主なメカニズムです。また、胸郭の動き(ポンプハンドル・バケツハンドル様運動)を理解しておくと、関連問題の解答に役立ちます。