第53回

第53回理学療法士国家試験 午後問題46

末梢神経障害による猿手で使用する装具はどれか。

  1. コックアップ・スプリント
  2. 短対立装具
  3. 虫様筋カフ
  4. 手関節駆動式把持装具
  5. BFO

解答解説

正解は2です。

短対立装具は、正中神経麻痺による猿手(母指対立動作や掌側外転が困難な状態)の補助を目的とした装具です。この装具は、母指を適切な対立位に保持し、機能的な手の動作をサポートします。

各選択肢の解説

  1. コックアップ・スプリント
    コックアップ・スプリントは、手関節伸展位を保持する装具で、主に橈骨神経麻痺や手根管症候群に使用されます。正中神経麻痺による猿手の補助には適していません。
  2. 短対立装具
    短対立装具は、母指の対立運動を補助し、正中神経麻痺による猿手に適切な支援を提供する装具です。猿手の症状に直接対応できるため、正解です。
  3. 虫様筋カフ
    虫様筋カフは、尺骨神経麻痺により起こる鷲手(手指のMP関節伸展とIP関節屈曲が進む状態)の補助に使用される装具です。猿手には適用されません。
  4. 手関節駆動式把持装具
    これはC6脊髄損傷などで把持機能を補助する装具であり、末梢神経障害による猿手には直接的な適用はありません。
  5. BFO(バイラテラルフィンガーオーソシス)
    手指の固定や支援に用いられる装具ですが、猿手の特異的な補助装具ではありません。

ワンポイントアドバイス

猿手(正中神経麻痺)の特徴は、母指対立や掌側外転が困難であることです。 このような機能障害に対処するために、短対立装具の使用が適しています。一方で、尺骨神経麻痺や橈骨神経麻痺には異なる装具が使用されるため、症状に応じた適切な装具選択を覚えておきましょう。