第54回

第54回理学療法士国家試験 午後問題1

可動域制限のない患者に図のような肢位をとらせたところ5秒間保持できた。Danielsらの徒手筋力テストにおける段階3以上と推測できる筋はどれか。

  1. 左三角筋中部線維
  2. 右上腕二頭筋
  3. 左中殿筋
  4. 右腸腰筋
  5. 右前脛骨筋

解答解説

正解は3. 左中殿筋です。

解説

図のような姿勢は、片脚立位で骨盤を水平に保つことを必要とします。この時、立脚側(図では左側)の中殿筋が働き、骨盤の安定を維持します。中殿筋が筋力3以上である場合、重力に抗して骨盤を水平に保つことが可能です。

各選択肢の解説

  1. 左三角筋中部線維(誤り)
    • 三角筋中部線維は肩関節の外転に関与しますが、図の姿勢を保持するための主要筋ではありません。
  2. 右上腕二頭筋(誤り)
    • 上腕二頭筋は肘関節の屈曲に関与しますが、この姿勢ではほとんど関与しません。
  3. 左中殿筋(正解)
    • 中殿筋は立脚側(左脚)で骨盤の安定を保つために重要な筋です。特に片脚立位時に、骨盤が健側に傾かないように作用します。この姿勢が5秒間保持できることから、中殿筋が筋力3以上であると推測されます。
  4. 右腸腰筋(誤り)
    • 腸腰筋は股関節屈曲に関与し、図のように右脚を上げる際に働きます。ただし、このテストは腸腰筋の評価を目的としていません。
  5. 右前脛骨筋(誤り)
    • 前脛骨筋は足関節の背屈に関与しますが、片脚立位の姿勢保持に大きな役割を果たしません。

片脚立位での中殿筋の役割

  • 中殿筋は、立脚側の股関節を外転させて骨盤を安定化させます。
  • 筋力が低下している場合、骨盤が非立脚側に下がる(トレンデレンブルグ徴候)ため、筋力3以上であれば骨盤を水平に保てます。

ワンポイントアドバイス

中殿筋は片脚立位や歩行時に骨盤を安定化させる重要な筋です。徒手筋力テストでは、筋力3は重力に抗して動作が可能な状態であることを基準に評価します。このような問題では、姿勢保持の際に働く筋に着目して解答を選びましょう。