第59回

第59回理学療法士国家試験 午後問題13

20歳の男性。脊髄損傷。プッシュアップ動作を図に示す。この動作が獲得可能な最も高位の機能残存レベルはどれか。

  1. C4
  2. C5
  3. C6
  4. C7
  5. C8

解答解説

正解は 3. C6 です。

解説

この動作は「プッシュアップ動作」であり、主に上肢の筋力を利用して身体を持ち上げる運動です。この動作を行うには、肩関節の安定性と肘関節の伸展が重要です。特にC6レベルでは、以下の機能が残存しているため、この動作が可能となります。

  • 三角筋上腕二頭筋の働きによって肩関節を安定させ、肘関節を屈曲できる。
  • 手根伸筋(橈側手根伸筋)が働くことで、手を「テノデーシスグリップ」として活用し、体重を支えることができる。

各選択肢の解説

  1. C4
    C4レベルでは主に横隔膜や僧帽筋が機能しますが、上肢の筋力はほとんど残存していません。そのため、この動作は不可能です。
  2. C5
    C5レベルでは三角筋や上腕二頭筋の機能が残存しますが、手関節伸筋の機能がないため、テノデーシスグリップができず、この動作は困難です。
  3. C6(正解)
    C6レベルでは三角筋や上腕二頭筋、手根伸筋の機能が残存しています。これによりテノデーシスグリップを活用して体重を支え、プッシュアップ動作が可能です。
  4. C7
    C7レベルでは上腕三頭筋が機能するため、肘の伸展が可能になります。この動作はよりスムーズに行えるようになりますが、C6でもプッシュアップ動作は可能なため、選択肢としてはC6が最も高位です。
  5. C8
    C8レベルでは指屈筋が機能し、手指のグリップ力が強化されます。この動作はさらに安定して行えますが、C6でも可能であるため選択肢としては不適切です。

ワンポイントアドバイス

脊髄損傷患者の残存機能を正確に把握することは、適切なリハビリテーション計画を立てる上で重要です。特にC6レベルでは、テノデーシスグリップを活用して自立した動作(プッシュアップや車椅子への移乗)が可能になるため、この機能の獲得を目標にしたトレーニングが効果的です。