第54回

第54回理学療法士国家試験 午後問題27

NRS〈numerical rating scale〉で正しいのはどれか。

  1. 順序尺度である。
  2. 10段階で評価する。
  3. 疼痛の性質を評価する。
  4. 患者間の比較に有効である。
  5. 幼児の疼痛評価に使用される。

解答解説

正解は1です。

NRS(Numerical Rating Scale)は疼痛の強さを主観的に評価するための順序尺度です。通常、0(痛みが全くない)から10(最悪の痛み)までの数値を用いますが、これは患者自身の主観的評価であり、個人内の疼痛変化を追跡するのに有効です。一方で、患者間の比較や疼痛の性質の評価には不適です。また、幼児や言語理解が困難な人には適しません。

選択肢の解説

  1. 順序尺度である。
    正解です。NRSは痛みの強さを0から10までの数値で表しますが、これは順序尺度(数値に順位はあるが、数値間の差が等しいわけではない)に該当します。
  2. 10段階で評価する。
    誤りです。NRSは「0から10」までの評価が一般的ですが、0から20や他の範囲も使用可能であり、必ずしも10段階ではありません。
  3. 疼痛の性質を評価する。
    誤りです。NRSは痛みの強さを評価するものであり、痛みの性質(例えば刺すような痛み、鈍い痛みなど)は評価できません。
  4. 患者間の比較に有効である。
    誤りです。NRSは患者の主観に基づいているため、患者間の比較には不適です。同じ数値でも異なる患者で痛みの感じ方が異なる可能性があります。
  5. 幼児の疼痛評価に使用される。
    誤りです。NRSは数値の概念を理解できる患者に適用されるため、幼児や言語理解が困難な患者には適していません。幼児にはFLACCスケールなど他の方法が用いられます。

ワンポイントアドバイス

NRSは簡便かつ広く用いられる疼痛評価方法で、患者自身の痛みの強さを数値化するのに優れています。ただし、順序尺度であることを理解し、患者間の比較に用いない点に注意してください。また、幼児や認知症患者には適切な評価方法を選択することが重要です。