第54回

第54回理学療法士国家試験 午後問題26

Danielsらの徒手筋力テストにおいて座位で筋力3を判定できるのはどれか。

  1. 大胸筋
  2. 肩甲下筋
  3. 上腕三頭筋
  4. 下腿三頭筋
  5. ハムストリングス

解答解説

正解は3です。

筋力3は重力に抗して関節可動域を全て動かせる状態を指します。上腕三頭筋の場合、座位で肘関節の伸展動作を行う際に重力が負荷となるため、この体位で筋力3を判定できます。他の筋は、筋活動に対する重力の影響が少ないため、座位での筋力3の判定には適していません。

選択肢の解説

  1. 大胸筋
    誤りです。大胸筋の機能評価は主に肩関節の水平屈曲(または内転)で行いますが、座位で重力が十分な負荷となる体位ではありません。そのため、筋力3の判定には不適です。
  2. 肩甲下筋
    誤りです。肩甲下筋の機能評価は肩関節の内旋で行いますが、座位での内旋動作では重力の影響がほとんどありません。筋力3の判定には他の体位(例えば側臥位)が適しています。
  3. 上腕三頭筋
    正解です。上腕三頭筋の評価では肘関節の伸展が主な動作です。座位では重力が負荷となるため、この体位で筋力3を判定することが可能です。
  4. 下腿三頭筋
    誤りです。下腿三頭筋の評価は足関節の底屈運動で行いますが、座位では重力の影響が小さいため、筋力3の判定には立位での評価(片足でのつま先立ち動作など)が推奨されます。
  5. ハムストリングス
    誤りです。ハムストリングスの評価は膝関節の屈曲で行いますが、座位での膝屈曲では重力の影響が少なく、筋力3を判定するためには腹臥位などが適しています。

ワンポイントアドバイス

徒手筋力テスト(MMT)では、筋力3の判定に必要な重力負荷を正しく理解することが重要です。評価する筋の作用に応じて、重力が最大限にかかる体位を選択しましょう。Danielsらの基準に基づき、筋の主要な働きと正しい体位をセットで覚えると試験対策に役立ちます。