下肢の末梢神経伝導検査で複数の神経に運動神経伝導速度低下を認めた。最も考えられる疾患はどれか。
- 多発性筋炎
- 視神経脊髄炎
- 閉塞性動脈硬化症
- 筋萎縮性側索硬化症
- Guillain-Barré症候群
解答解説
正解は5. Guillain-Barré症候群です。
解説
Guillain-Barré症候群(GBS)は、末梢神経の脱髄や軸索障害を引き起こす急性の自己免疫性疾患です。神経伝導検査では、複数の末梢神経で伝導速度の低下や伝導ブロックが特徴的に認められます。
Guillain-Barré症候群の特徴
- 主な症状:急性または亜急性に進行する四肢の筋力低下、感覚異常、腱反射の消失。
- 病態:免疫反応が末梢神経の髄鞘または軸索を攻撃し、神経伝導障害を生じる。
- 神経伝導検査:
- 運動神経伝導速度の低下(脱髄型)。
- 振幅の低下(軸索型)。
- 伝導ブロックや潜時延長が認められることもある。
他の選択肢の解説
- 多発性筋炎(誤り)
- 筋炎性疾患で、筋繊維の炎症が主な病態です。末梢神経伝導速度には影響を与えません。筋力低下や筋肉の炎症所見が主です。
- 視神経脊髄炎(誤り)
- 視神経と脊髄を主に侵す中枢神経系の炎症性疾患です。末梢神経には関与しないため、神経伝導速度の低下は認められません。
- 閉塞性動脈硬化症(誤り)
- 動脈の狭窄や閉塞による血流障害を特徴としますが、神経伝導速度には直接影響を与えません。症状は主に冷感や間欠性跛行です。
- 筋萎縮性側索硬化症(誤り)
- 上位運動ニューロンと下位運動ニューロンが障害される疾患ですが、神経伝導速度は通常低下しません。振幅の低下が特徴です。
- Guillain-Barré症候群(正解)
- 多くの末梢神経で伝導速度が低下するため、神経伝導検査の所見と一致します。
ワンポイントアドバイス
神経伝導速度が低下する疾患は主に末梢神経の脱髄性疾患です。Guillain-Barré症候群のほか、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)なども同様の所見を呈します。中枢神経疾患や筋疾患とは鑑別が必要です。