慢性閉塞性肺疾患の呼吸機能検査の所見で低下がみられるのはどれか。
- PaCO2
- 残気率
- 全肺気量
- 肺拡散能
- 肺コンプライアンス
解答解説
正解は4です。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、肺胞の破壊や小気道の閉塞が進行することで、肺拡散能(DLCO)が低下します。これは、ガス交換に必要な肺胞壁面積が減少し、酸素と二酸化炭素の効率的な交換が難しくなるためです。一方で、残気率や全肺気量はむしろ増加する傾向があり、COPDの特徴である閉塞性障害に起因します。
選択肢の解説
- PaCO2
COPDの進行に伴い、高炭酸ガス血症(PaCO2の上昇)が見られることがありますが、初期段階では通常PaCO2は正常範囲内にあります。低下する所見ではありません。 - 残気率
残気率(RV/TLC比)は、閉塞性障害により肺に残る空気量が増加するため、上昇します。COPDの特徴的な変化の一つですが、低下する所見ではありません。 - 全肺気量
全肺気量(TLC)は、COPDでは過膨張により増加する傾向があります。肺気腫の進行で肺が拡張するため、低下する所見ではありません。 - 肺拡散能
正解です。COPDでは肺胞壁の破壊によってガス交換が低下し、肺拡散能(DLCO)が低下します。特に肺気腫の進行した症例で顕著です。この所見はCOPDの重症度評価にも役立ちます。 - 肺コンプライアンス
肺コンプライアンス(肺の伸展性)は、COPDではむしろ増加することが多いです。これは肺気腫に伴う肺組織の破壊によるためです。低下する所見ではありません。
ワンポイントアドバイス
COPDでは閉塞性障害が主な特徴ですが、肺気腫型COPDでは肺拡散能の低下が重要な指標となります。肺拡散能が低下している場合、疾患の進行や重症度を反映している可能性があります。呼吸機能検査のパターンを覚え、拡散能低下がどの病態で生じるか理解しておきましょう。