第54回

第54回理学療法士国家試験 午後問題19

70歳の男性。食道がんを内視鏡的に切除した後に放射線療法を行ってから6か月が経過した。今後予測される放射線療法の副作用はどれか。

  1. 末梢神経障害
  2. 気道浮腫
  3. 食欲不振
  4. 皮膚炎
  5. 悪心

解答解説

正解は1. 末梢神経障害です。

解説

放射線療法の副作用は、急性期(治療中または治療直後に出現)と晩期(治療後数か月から数年後に出現)に分けられます。食道がん治療後6か月が経過しているため、晩期の副作用を想定する必要があります。

選択肢ごとの解説

  1. 末梢神経障害(正解)
    • 放射線療法の晩期副作用として、放射線照射部位の神経が損傷を受けることで末梢神経障害が生じることがあります。食道がんの治療では、頸部や胸部への照射が行われるため、腕神経叢やその他の末梢神経に影響が出ることがあります。
  2. 気道浮腫(誤り)
    • 気道浮腫は、放射線照射による急性期の炎症反応として生じることがありますが、治療後6か月経過しているこの患者では可能性は低いです。
  3. 食欲不振(誤り)
    • 食欲不振は放射線療法中または直後に見られる急性期の副作用として一般的ですが、6か月後には治癒している可能性が高いです。
  4. 皮膚炎(誤り)
    • 放射線療法の急性期副作用として照射部位の皮膚炎がよく見られます。しかし、通常は治療終了後数週間以内に軽快するため、6か月後に継続することはありません。
  5. 悪心(誤り)
    • 悪心は放射線療法中の急性期の副作用としてよく見られます。放射線が胃や腸などの消化管に照射された場合に生じやすいですが、食道がん治療後6か月という状況では予測されません。

ワンポイントアドバイス

放射線療法の副作用を時期ごとに整理すると覚えやすいです。

  • 急性期副作用(治療中~直後):皮膚炎、食欲不振、悪心、浮腫など。
  • 晩期副作用(数か月~数年後):末梢神経障害、線維化、放射線誘発性がんなど。

特に晩期副作用は予防が困難な場合が多いため、早期の発見と症状に応じた適切な対処が重要です。