60歳の女性。心不全。運動療法中に心室期外収縮が確認された。このときの心電図を示す。この心室期外収縮について正しいのはどれか。
- 3段脈である。
- P波がみられる。
- Lownの分類4bである。
- QRS幅は0.12秒未満である。
- 洞調律よりも早く出現する心室興奮である。
解答解説
正解は5. 洞調律よりも早く出現する心室興奮であるです。
解説
心室期外収縮(PVC: Premature Ventricular Contraction)は、洞調律より早く心室で興奮が発生し、異常なQRS波を呈する不整脈です。この不整脈は、単発で出現する場合には通常は大きな危険性はありませんが、頻発する場合や特定の条件下では注意が必要です。
各選択肢の解説
- 3段脈である(誤り)
- 3段脈は「正常収縮とPVCが1回おきに交互に現れる」状態を指します(Bigeminy: 二段脈)。図示された心電図では、正常な洞調律の後にPVCが単発で現れているため、3段脈ではありません。
- P波がみられる(誤り)
- PVCは心室で異常に発生した興奮のため、洞性P波が存在しない場合が多いです。心電図でもPVCの前にP波が確認されていません。
- Lownの分類4bである(誤り)
- Lownの分類4bは、多形性心室頻拍(PVCが3連発以上)を指します。この心電図では、単発性のPVCが示されており、4bには該当しません。
- QRS幅は0.12秒未満である(誤り)
- PVCでは心室で異常に興奮が発生するため、通常のQRS波形よりも広いQRS波を示します。QRS幅は0.12秒以上となるのが特徴的です。
- 洞調律よりも早く出現する心室興奮である(正解)
- PVCの定義として、洞調律よりも早く心室で異常興奮が発生し、それが心電図に現れることが挙げられます。これは本症例の心電図の特徴と一致します。
ワンポイントアドバイス
心室期外収縮は頻度が少ない場合は予後への影響が少ないですが、以下の場合は注意が必要です:
- 頻発するPVC(Lown分類3以上)
- 多形性PVCや連発するPVC
- 心疾患の既往がある場合
PVCを心電図で診断する際は、P波の有無、QRS幅の延長、洞調律とのタイミングを確認することが重要です。