第53回

第53回理学療法士国家試験 午後問題65

排便機構について正しいのはどれか。

  1. 排便時には横隔膜が弛緩する。
  2. 排便に関与する神経は下肢神経である。
  3. 直腸平滑筋と内肛門括約筋は同時に収縮する。
  4. 直腸壁が加圧されると骨盤神経が刺激される。
  5. 直腸の収縮を促す神経伝達物質はアドレナリンである。

解答解説

正解は4. 直腸壁が加圧されると骨盤神経が刺激される。です。

解説

  1. 排便時には横隔膜が弛緩する。
    排便時には横隔膜が収縮して腹圧が高まります。この選択肢は誤りです。
  2. 排便に関与する神経は下肢神経である。
    排便には骨盤神経(副交感神経系)が関与します。下肢神経は関与しません。この選択肢は誤りです。
  3. 直腸平滑筋と内肛門括約筋は同時に収縮する。
    排便時には直腸平滑筋が収縮する一方、内肛門括約筋は弛緩します。同時に収縮することはありません。この選択肢は誤りです。
  4. 直腸壁が加圧されると骨盤神経が刺激される。
    直腸壁の伸展や加圧が刺激となり、骨盤神経(副交感神経系)を介して直腸平滑筋の収縮と内肛門括約筋の弛緩が起こります。この選択肢は正しいです。
  5. 直腸の収縮を促す神経伝達物質はアドレナリンである。
    直腸の収縮は副交感神経系の作用で行われ、神経伝達物質はアセチルコリンです。アドレナリンは交感神経系の伝達物質であり、直腸収縮には関与しません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

排便機構では、副交感神経が主に直腸平滑筋の収縮や内肛門括約筋の弛緩を制御します。一方、交感神経は括約筋を収縮させます。また、排便時には腹圧を高める横隔膜や腹筋の役割も理解しておきましょう。この知識は自律神経系の機能と関連して出題されることが多いです。