40歳の男性。長時間の立位により右下肢の疼痛が生じるようになったため受診し腰椎椎間板ヘルニアと診断された。右の片脚立位で踵の挙上ができなかった。重度の感覚鈍麻が疑われる部位はどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
- ⑤
解答解説
正解は4. ④です。
解説
片脚立位で踵を挙上できないことから、下腿三頭筋(腓腹筋、ヒラメ筋)の筋力低下が疑われます。この筋群を支配するのは脛骨神経で、支配される神経根はS1です。腰椎椎間板ヘルニアによる神経根障害で最も多いのはL5/S1の障害であり、この場合、S1神経根の圧迫により以下のような症状が出現します。
S1神経根障害の特徴
- 運動障害:
下腿三頭筋の筋力低下により、踵挙上が困難になる。 - 感覚障害:
S1領域に対応する部位で感覚鈍麻が現れる。具体的には、足の外側から小趾にかけての感覚が障害されやすい(④の部位)。 - 反射障害:
アキレス腱反射の低下または消失が見られる。
各選択肢の検討
- ①(誤り)
- 大腿部外側であり、L2-L3の神経根障害で見られる部位です。本症例とは関係ありません。
- ②(誤り)
- 大腿部前面であり、L3-L4の神経根障害で見られる部位です。本症例とは関係ありません。
- ③(誤り)
- 下腿前面の内側であり、L4神経根障害で見られる部位です。本症例とは関係ありません。
- ④(正解)
- 足の外側から小趾にかけての感覚障害は、S1神経根障害に一致します。このため正解です。
- ⑤(誤り)
- 母趾の先端であり、L5神経根障害で見られる部位です。本症例とは関係ありません。
ワンポイントアドバイス
腰椎椎間板ヘルニアの診断において、障害される神経根に対応した感覚障害の部位を正確に把握することが重要です。L5/S1ヘルニアでは、踵挙上不全(下腿三頭筋の筋力低下)、足の外側から小趾にかけての感覚鈍麻、アキレス腱反射の低下が特徴的であることを覚えておきましょう。