第55回

第55回理学療法士国家試験 午後問題93

多発性骨髄腫に特徴的でないのはどれか。

  1. 貧血
  2. 腎障害
  3. 易感染性
  4. 病的骨折
  5. 低カルシウム血症

解答解説

正解は5(低カルシウム血症)です。
多発性骨髄腫は形質細胞が異常に増殖する疾患で、特徴的な症状はCRAB(高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨病変)として整理されます。骨吸収が亢進することで高カルシウム血症が頻繁に見られるため、低カルシウム血症は特徴的ではありません。

各選択肢の解説

  1. 貧血
    異常な形質細胞の増殖により骨髄が圧迫され、造血が抑制されるため貧血がよく見られます。この選択肢は正しいです。
  2. 腎障害
    異常免疫グロブリン(特にベンスジョーンズ蛋白)が腎臓に沈着することで腎障害が頻発します。この選択肢は正しいです。
  3. 易感染性
    正常な抗体産生が抑制されるため、易感染性が見られます。この選択肢は正しいです。
  4. 病的骨折
    骨吸収亢進により骨密度が低下し、病的骨折が多発します。この選択肢は正しいです。
  5. 低カルシウム血症
    多発性骨髄腫では、骨溶解に伴い血中カルシウムが上昇するため、高カルシウム血症が特徴的です。低カルシウム血症は見られません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

多発性骨髄腫の主要症状を示すCRABは次のように覚えておきましょう:

  • C(Calcium):高カルシウム血症
  • R(Renal):腎障害
  • A(Anemia):貧血
  • B(Bone):骨病変(病的骨折、骨痛)

この疾患は高齢者に多く見られ、症状が多岐にわたるため、CRABを基に早期診断と治療を進めることが重要です。