ある薬物を投与する前後の運動開始前・中・後の血圧の変化を示す。この薬物の作用はどれか。
- 副交感神経刺激
- 交感神経α受容体刺激
- 交感神経α受容体抑制
- 交感神経β受容体刺激
- 交感神経β受容体抑制
解答解説
正解は4. 交感神経β受容体刺激です。
解説
この図では、薬物投与後に運動中の収縮期血圧が上昇していることが確認されます。これは、交感神経β受容体が刺激され、心拍出量の増加を引き起こしたためと考えられます。また、拡張期血圧の変化が小さい点もβ受容体刺激の特徴に一致します。
各選択肢の解説
- 副交感神経刺激(誤り)
- 副交感神経刺激により心拍数や血圧が低下する効果が期待されますが、この図では収縮期血圧が上昇しているため該当しません。
- 交感神経α受容体刺激(誤り)
- α受容体刺激は血管収縮を引き起こし、収縮期血圧だけでなく拡張期血圧も上昇します。この図では拡張期血圧に大きな変化がないため該当しません。
- 交感神経α受容体抑制(誤り)
- α受容体抑制は血管の拡張を引き起こし、収縮期血圧と拡張期血圧の両方が低下します。この図の血圧変化には一致しません。
- 交感神経β受容体刺激(正解)
- β受容体刺激は心拍数と心筋収縮力を増加させ、心拍出量を増やします。その結果、運動中の収縮期血圧が上昇しますが、拡張期血圧には大きな影響を与えないことが特徴です。この図の血圧変化と一致します。
- 交感神経β受容体抑制(誤り)
- β受容体抑制では心拍数と心筋収縮力が低下し、心拍出量が減少するため、収縮期血圧が低下する傾向があります。この図では収縮期血圧が上昇しているため該当しません。
交感神経β受容体刺激の作用
- β1受容体刺激(主に心臓に分布)
- 心拍数の増加(陽性変時作用)。
- 心筋収縮力の増加(陽性変力作用)。
- 心拍出量が増加し、収縮期血圧が上昇します。
- β2受容体刺激(主に血管や気管支に分布)
- 血管拡張作用により、拡張期血圧に大きな変化を与えません。
ワンポイントアドバイス
交感神経α受容体とβ受容体の違いを理解することが重要です。特に、収縮期血圧が上昇し、拡張期血圧にほとんど影響を与えない場合はβ受容体刺激の作用であることを覚えておきましょう。