第54回

第54回理学療法士国家試験 午前問題49

廃用症候群で正しいのはどれか。

  1. 加齢による影響は少ない。
  2. 二次性サルコペニアを認める。
  3. 筋萎縮は上肢に強くみられる。
  4. 進行しても摂食嚥下機能は保たれる。
  5. 高齢者では高アルブミン血症を認める。

解答解説

正解は2. 二次性サルコペニアを認めるです。

解説

廃用症候群は、長期間の安静や活動制限によって、全身の筋肉、骨、心肺機能、消化器機能などが低下する状態です。高齢者や疾患後の安静を余儀なくされた人に多く見られ、筋力低下(サルコペニア)が顕著に現れます。以下に各選択肢を解説します。

各選択肢の解説

  1. 加齢による影響は少ない(誤り)
    • 加齢そのものが筋力低下や身体機能低下を引き起こすため、廃用症候群は加齢の影響を強く受けます。高齢者ほど発症リスクが高いです。
  2. 二次性サルコペニアを認める(正解)
    • サルコペニアは筋肉量や筋力の低下を指し、廃用症候群では活動低下が原因の二次性サルコペニアが生じます。これは可逆的で、リハビリテーションによる改善が期待できます。
  3. 筋萎縮は上肢に強くみられる(誤り)
    • 筋萎縮は下肢の抗重力筋(大腿四頭筋など)に顕著です。上肢よりも下肢に影響が強く、立ち上がりや歩行が困難になります。
  4. 進行しても摂食嚥下機能は保たれる(誤り)
    • 廃用症候群が進行すると、摂食嚥下機能も低下します。長期間の臥床により、咀嚼筋や嚥下筋が衰えるためです。
  5. 高齢者では高アルブミン血症を認める(誤り)
    • 廃用症候群では、栄養状態が悪化するため低アルブミン血症がみられることが多いです。

ワンポイントアドバイス

廃用症候群の特徴として、筋萎縮、骨密度低下、心肺機能低下が重要です。特に、サルコペニアの発症メカニズムを理解し、リハビリテーションや栄養管理の必要性を押さえておきましょう。筋萎縮は下肢の抗重力筋が優先的に影響を受ける点も試験で頻出です。