人工呼吸器のモニターに示される気道内圧と肺気量位を図に示す。理学療法前後で図のような変化が見られた場合、呼吸器系に生じた変化として考えられるのはどれか。ただし、対象者の自発呼吸はなく、人工呼吸器による陽圧変化のみにより肺気量位が変化しているものとする。
- 肺活量の増加
- 残気量の減少
- 気道抵抗の増加
- 胸郭柔軟性の低下
- 肺コンプライアンスの増加
解答解説
正解は5. 肺コンプライアンスの増加です。
解説
人工呼吸器のモニターで観察される気道内圧と肺気量の変化から、呼吸器系の動的特性を評価できます。図に示された理学療法後の変化として、同じ気道内圧でより大きな肺気量が得られるようになっています。このことは、肺コンプライアンス(肺の伸展性)が改善したことを示します。
各選択肢の解説
- 肺活量の増加(誤り)
- 肺活量は自発呼吸や深呼吸時の最大換気量を示す指標です。自発呼吸のない状態では評価が難しく、今回のケースでは該当しません。
- 残気量の減少(誤り)
- 残気量は最大呼気後に肺内に残る空気量を指します。図は残気量に関する直接的な情報を示していません。
- 気道抵抗の増加(誤り)
- 気道抵抗が増加する場合、気道内圧は高くなり、肺気量の増加が抑えられるはずです。図では理学療法後に肺気量が増加しているため、気道抵抗が増加しているとは言えません。
- 胸郭柔軟性の低下(誤り)
- 胸郭柔軟性が低下した場合、気道内圧が上昇し、肺気量の伸びが制限されます。今回の図はこれに該当しません。
- 肺コンプライアンスの増加(正解)
- 肺コンプライアンスとは、単位圧力変化に対して肺がどれだけ膨らむかを示す指標です。図のように、同じ気道内圧でより大きな肺気量が得られるようになる場合、肺コンプライアンスが改善したと考えられます。
肺コンプライアンス改善の可能性がある要因
- 理学療法の効果:痰の除去や肺胞の再膨張を促すことで、肺の伸展性が改善したと推測されます。
- 肺胞の再開通:分泌物の除去により閉塞していた肺胞が開通した場合、肺コンプライアンスが改善します。
ワンポイントアドバイス
人工呼吸器のモニター変化を評価する際は、気道内圧と肺気量の関係を必ず確認しましょう。また、理学療法が肺コンプライアンスにどのように影響するかを理解しておくことが重要です。