細菌の産生する毒素が症状の原因となるのはどれか。
- 赤痢菌
- サルモネラ
- ボツリヌス菌
- カンピロバクター
- 腸管出血性大腸菌
解答解説
正解は1. 赤痢菌、3. ボツリヌス菌、5. 腸管出血性大腸菌です。
解説
細菌の中には、毒素(エキソトキシンやエンドトキシン)を産生し、それが症状の主な原因となるものがあります。毒素による作用は中毒症状や局所障害を引き起こします。
各選択肢の解説
- 赤痢菌(正解)
- 赤痢菌は志賀毒素を産生します。志賀毒素は腸管上皮細胞を障害し、下痢や血便の原因となります。毒素型細菌性腸炎の代表的な原因菌です。
- サルモネラ(誤り)
- サルモネラは毒素ではなく、細菌そのものが腸管内で増殖し、局所の炎症や全身感染を引き起こします。主な症状は発熱、下痢などです。
- ボツリヌス菌(正解)
- ボツリヌス菌はボツリヌストキシンを産生します。この毒素は神経筋接合部に作用し、筋麻痺や呼吸障害を引き起こします。食品中で毒素が生成され、摂取後に症状を引き起こします。
- カンピロバクター(誤り)
- カンピロバクターは毒素の産生よりも細菌の直接感染が症状の主な原因です。腸管内での侵入・炎症が下痢や腹痛の原因となります。
- 腸管出血性大腸菌(正解)
- 腸管出血性大腸菌(O157など)はベロ毒素(志賀様毒素)を産生します。この毒素が血管内皮細胞を障害し、溶血性尿毒症症候群(HUS)など重篤な合併症を引き起こすことがあります。
毒素型食中毒の例
- ボツリヌス菌:ボツリヌストキシンによる神経障害。
- 黄色ブドウ球菌:エンテロトキシンによる急性嘔吐。
- 腸管出血性大腸菌:ベロ毒素による血便、腎障害。
ワンポイントアドバイス
毒素産生型の細菌性疾患では、毒素の作用機序(神経障害、腸管障害、全身毒性など)を理解することが重要です。赤痢菌と腸管出血性大腸菌は類似点が多いですが、腸管出血性大腸菌の重症合併症(HUS)も覚えておきましょう。