アルコール離脱せん妄で正しいのはどれか。
- 生命への危険性は低い。
- 羽ばたき振戦がみられる。
- 抗酒薬を速やかに投与する。
- 飲酒停止後72〜96時間に多くみられる。
- アルコール血中濃度の上昇に伴って生じる。
解答解説
正解は4. 飲酒停止後72〜96時間に多くみられるです。
解説
アルコール離脱せん妄(振戦せん妄)は、アルコール依存症患者が急激に飲酒を中止した際に起こる重篤な離脱症状の一つです。この症状は中枢神経系が過興奮状態に陥ることで発生します。
各選択肢の解説
- 生命への危険性は低い(誤り)
- アルコール離脱せん妄は適切に管理されないと死亡率が高い状態です。心拍数の増加、血圧の上昇、重度の錯乱、けいれんなどが命に関わる合併症を引き起こします。
- 羽ばたき振戦がみられる(誤り)
- 羽ばたき振戦(アステリキシス)は、肝性脳症などでみられる症状です。アルコール離脱せん妄では、主に振戦(手指の震え)が認められますが、羽ばたき振戦は関係しません。
- 抗酒薬を速やかに投与する(誤り)
- 抗酒薬(ジスルフィラムなど)は飲酒を防ぐために使用されますが、離脱せん妄に対しては用いません。離脱せん妄の治療にはベンゾジアゼピン系薬剤が用いられます。
- 飲酒停止後72〜96時間に多くみられる(正解)
- アルコール離脱症状は、飲酒停止後数時間から数日で発生します。特にせん妄症状は72〜96時間後に発症することが多く、この期間に最大の注意が必要です。
- アルコール血中濃度の上昇に伴って生じる(誤り)
- 離脱せん妄はアルコール血中濃度が低下することで発生します。慢性的な飲酒により適応していた神経系が過剰に活性化されることが原因です。
アルコール離脱せん妄の主な特徴
- 発症時期:飲酒停止後72〜96時間。
- 主な症状:錯乱、不安、振戦、発汗、発熱、けいれん、幻視。
- 治療:ベンゾジアゼピン系薬剤を使用し、中枢神経の過剰な興奮を抑える。
ワンポイントアドバイス
アルコール離脱症状は軽度の不安や振戦から重篤な離脱せん妄まで様々です。特に飲酒停止後3〜4日目に最も注意が必要である点を試験対策として覚えておきましょう。また、羽ばたき振戦はアルコール離脱ではなく肝性脳症の特徴である点に注意してください。