第54回

第54回理学療法士国家試験 午前問題82

ASIA の評価法における脊髄の髄節とその key muscle の組合せで正しいのはどれか。

  1. C6 ―― 上腕二頭筋
  2. C8 ―― 上腕三頭筋
  3. T1 ―― 小指外転筋
  4. L1 ―― 大腿四頭筋
  5. L5 ―― 前脛骨筋

解答解説

正解は3. T1 小指外転筋です。

解説

ASIA(American Spinal Injury Association)の評価法では、脊髄の各髄節ごとに「Key muscle」(筋力評価の対象となる代表的な筋肉)が決められています。これは脊髄損傷のレベルを評価するために重要な指標となります。以下に各髄節の代表的な筋肉を示します。

髄節とその key muscle

  • C5:上腕二頭筋(肘屈曲)
  • C6:手根伸筋(手関節背屈)
  • C7:上腕三頭筋(肘伸展)
  • C8:指屈筋(中指の末節関節屈曲)
  • T1:小指外転筋(小指外転)
  • L2:股関節屈筋(大腿直筋など)
  • L3:大腿四頭筋(膝伸展)
  • L4:前脛骨筋(足関節背屈)
  • L5:長母趾伸筋(母趾伸展)
  • S1:腓腹筋・ヒラメ筋(足関節底屈)

各選択肢の解説

  1. C6 ―― 上腕二頭筋(誤り)
    • C6のkey muscleは「手根伸筋(手関節背屈)」です。上腕二頭筋はC5のkey muscleです。
  2. C8 ―― 上腕三頭筋(誤り)
    • C8のkey muscleは「指屈筋(中指の末節関節屈曲)」です。上腕三頭筋はC7のkey muscleです。
  3. T1 ―― 小指外転筋(正解)
    • T1のkey muscleは「小指外転筋」です。この選択肢が正解です。
  4. L1 ―― 大腿四頭筋(誤り)
    • L1にはkey muscleが設定されておらず、大腿四頭筋はL3のkey muscleです。
  5. L5 ―― 前脛骨筋(誤り)
    • L5のkey muscleは「長母趾伸筋」です。前脛骨筋はL4のkey muscleです。

ワンポイントアドバイス

ASIAの評価は、脊髄損傷の診断において基本的な知識です。以下を覚えておくと良いでしょう:

  • C5〜T1のkey muscleは上肢、L2〜S1のkey muscleは下肢に関連する。
  • 損傷レベルの評価には、筋力(5段階評価)や感覚テストも併用する。
  • 特にC5〜C8、L3〜L5のkey muscleを重点的に整理しておくと、問題に対応しやすくなります。