第55回

第55回理学療法士国家試験 午後問題92

血友病の臨床症状で最も多いのはどれか。

  1. 関節内出血
  2. 血小板数減少
  3. 出血時間延長
  4. 毛細血管拡張
  5. リンパ節腫脹

解答解説

正解は1(関節内出血)です。
血友病は、凝固因子(VIIIまたはIX)の欠乏により、止血が遅れる先天性出血性疾患です。主な症状は関節内出血であり、特に膝、肘、足関節が侵されやすいです。関節内に出血が繰り返されると、慢性的な炎症や関節変形、機能障害を引き起こします。

各選択肢の解説

  1. 関節内出血
    血友病の典型的な症状で、最も多く見られる出血部位です。軽微な外傷でも関節内に出血し、痛みや腫れが生じます。この選択肢は正しいです。
  2. 血小板数減少
    血友病は凝固因子の欠乏による疾患であり、血小板数自体は正常です。血小板数減少は、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)などで見られる症状です。この選択肢は誤りです。
  3. 出血時間延長
    血友病では、出血時間は正常であることが多いです。出血時間が延長するのは、血小板機能異常がある場合に見られる症状です。この選択肢は誤りです。
  4. 毛細血管拡張
    毛細血管拡張は、遺伝性毛細血管拡張症(Osler-Weber-Rendu病)などに見られる症状であり、血友病には関係ありません。この選択肢は誤りです。
  5. リンパ節腫脹
    リンパ節腫脹は、感染症や悪性疾患(リンパ腫など)で見られる症状であり、血友病には通常見られません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

血友病の症状や特徴を理解する際のポイント:

  • 主要症状:関節内出血、筋肉内出血、深部出血
  • 血液検査:凝固時間の延長(部分トロンボプラスチン時間:APTT)
  • 治療:欠乏因子(VIIIまたはIX)の補充療法

反復性の関節内出血による二次的な関節障害を予防するため、早期診断と適切な管理が重要です。