Duchenne型筋ジストロフィーのステージ5(厚生省筋疾患症研究班の機能障害度分類による)に対する理学療法で優先度が高いのはどれか。
- 座位保持練習
- 体幹装具の使用
- 徒手での咳嗽介助
- 下肢の漸増抵抗運動
- 椅子からの立ち上がり練習
解答解説
正解は2です。
Duchenne型筋ジストロフィーのステージ5では、すでに歩行能力を喪失しており、進行性の体幹筋力低下が進む段階です。体幹装具の使用は、姿勢保持や呼吸機能の維持、脊柱変形の予防に役立つため、優先度が高いアプローチとなります。
各選択肢の解説
- 座位保持練習
ステージ5では、重度の筋力低下が進んでいるため、積極的な筋力強化や座位保持練習を行うよりも、姿勢保持を補助する方法(装具など)のほうが適切です。このため、優先度は高くありません。 - 体幹装具の使用
体幹装具は、姿勢を安定させ、脊柱側弯の進行を予防するほか、呼吸機能の維持にも寄与します。進行期における姿勢管理と全身機能維持に最も重要な手段であり、優先度が最も高い選択肢です。 - 徒手での咳嗽介助
呼吸機能低下に伴い、痰の排出補助が必要な場合には有効です。ただし、症状の進行度によりますが、一般的に体幹装具による姿勢管理が優先されます。 - 下肢の漸増抵抗運動
漸増抵抗運動は、筋力を増強する目的で行われますが、Duchenne型筋ジストロフィーでは筋力低下の進行を止めることはできず、過度な運動は筋損傷を助長するため推奨されません。 - 椅子からの立ち上がり練習
ステージ5では歩行能力を喪失しており、立ち上がり動作を訓練する段階ではありません。そのため、優先度は低いです。
ワンポイントアドバイス
Duchenne型筋ジストロフィーでは、進行期において姿勢保持と呼吸機能の維持がリハビリの中心となります。体幹装具は、脊柱の安定化や呼吸を補助する重要なツールです。また、筋力強化を目的とした負荷の強い運動は避けるべきです。患者の状態に応じた介入が求められます。