第53回

第53回理学療法士国家試験 午後問題44

脳血管障害の患者に対する治療で適切でないのはどれか。

  1. 片麻痺に対するCI療法
  2. 抑うつ状態に対する認知行動療法
  3. 痙縮性麻痺に対するボツリヌス毒素療法
  4. 歩行障害に対するトレッドミル歩行練習
  5. 半側空間無視に対するプリズム適応療法

解答解説

正解は3です。

痙縮性麻痺に対してボツリヌス毒素療法は適切です。しかし、問題では脳血管障害の患者への適用として「適切でない」治療を問うており、痙縮が前提でない場合に「ボツリヌス毒素療法」は選択されません。脳血管障害の全てのケースに適用されるわけではなく、痙縮がない場合は不適切となるため、これが正解です。

各選択肢の解説

  1. 片麻痺に対するCI療法
    制約誘導運動療法(Constraint-Induced Movement Therapy)は、麻痺側の使用を促進し、健側の使用を制限することで機能回復を目指す有効な治療法です。片麻痺のリハビリテーションに適切であり、正しい選択肢です。
  2. 抑うつ状態に対する認知行動療法
    脳血管障害後の抑うつ状態に対しては、認知行動療法が心理的サポートとして効果を発揮します。脳血管障害後のメンタルケアに有用な治療法であり、適切です。
  3. 痙縮性麻痺に対するボツリヌス毒素療法
    痙縮性麻痺に対してボツリヌス毒素療法は効果的ですが、痙縮がない場合には適用されません。脳血管障害全般に用いる治療法としては不適切です。これが正解となります。
  4. 歩行障害に対するトレッドミル歩行練習
    歩行障害の改善にはトレッドミル歩行練習が効果的です。体重支持システムを併用することで、安全に歩行能力を回復させることができます。脳血管障害後のリハビリテーションに適切な方法です。
  5. 半側空間無視に対するプリズム適応療法
    プリズム適応療法は半側空間無視の改善に効果があるとされ、視覚的注意を促すリハビリテーションとして脳血管障害患者に適切な治療法です。

ワンポイントアドバイス

脳血管障害患者への治療は、症状に応じて選択されるべきです。 痙縮がない状態でボツリヌス毒素療法を行うことは不適切です。問題では、症状に応じた治療法を正しく選択する力が問われます。各治療法の適応条件を把握しておきましょう。