第59回

第59回理学療法士国家試験 午前問題55

ドーパミンが主に神経伝達物質となっている部位はどれか。

  1. 黒質
  2. 視床
  3. 小脳
  4. 脳梁
  5. 前頭葉

解答解説

正解は 1. 黒質 です。

ドーパミンは神経伝達物質として、特に中枢神経系において重要な役割を果たします。黒質(中脳に位置する)と線条体を結ぶ黒質-線条体路(錐体外路系)が主なドーパミンの産生・利用部位として知られています。この系統は運動調節に関与し、パーキンソン病などの疾患に関係します。

各選択肢の解説

  1. 黒質(正解)
    黒質(中脳の一部)は、ドーパミンを豊富に含むニューロンが多く存在する部位です。特に黒質緻密部は、線条体との間でドーパミンを介して情報伝達を行います。
  2. 視床
    視床は感覚情報の中継や調整に関与しますが、ドーパミンの主要な産生部位ではありません。
  3. 小脳
    小脳は運動の調整に重要な役割を果たしますが、主にGABAやグルタミン酸が神経伝達物質として作用し、ドーパミンが主役となる部位ではありません。
  4. 脳梁
    脳梁は左右の大脳半球を連絡する構造であり、ドーパミンの産生や作用に直接関与していません。
  5. 前頭葉
    前頭葉はドーパミンの投射先として認識されていますが、ドーパミンを産生する主な部位ではありません。

ワンポイントアドバイス

ドーパミンは中枢神経系の主要な神経伝達物質で、黒質だけでなく腹側被蓋野や視床下部でも産生されます。これらは運動調節(黒質-線条体路)報酬系(腹側被蓋野-前頭葉路)、および内分泌調節(視床下部-下垂体路)に関与しており、病態との関連を押さえることが重要です。