診断においてMRI拡散強調像が最も有用なのはどれか。
- 頭蓋底骨折
- 脳室内出血
- 脳梗塞急性期
- 脳出血急性期
- くも膜下出血急性期
解答解説
正解は3(脳梗塞急性期)です。
MRI拡散強調像(DWI: Diffusion Weighted Imaging)は、細胞内外の水分子の動き(拡散)を検出する画像診断法です。急性期脳梗塞では、血流の途絶により細胞内に水分が貯留する細胞性浮腫が発生し、この変化がDWIで高信号として鋭敏に検出されます。これにより、発症数分~数時間以内の脳梗塞診断が可能です。
各選択肢の解説
- 頭蓋底骨折
頭蓋底骨折は主にCT(骨構造の評価に優れる)で診断されます。MRI拡散強調像は骨の評価には適していません。この選択肢は誤りです。 - 脳室内出血
脳室内出血はCTで鮮明に描出可能です。急性期出血の診断にはCTが優先され、MRI拡散強調像は必須ではありません。この選択肢は誤りです。 - 脳梗塞急性期
脳梗塞急性期では、細胞性浮腫により拡散が制限され、高信号としてMRI拡散強調像に描出されます。この特性により、DWIは急性期脳梗塞の診断に非常に有用です。この選択肢は正しいです。 - 脳出血急性期
脳出血急性期の診断には、出血を直接描出できるCTが優先されます。MRIは補助的に用いられることが多いです。この選択肢は誤りです。 - くも膜下出血急性期
くも膜下出血急性期は、CTで高い感度で診断可能です。MRI拡散強調像の役割は限定的です。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
画像診断の選択は、疾患ごとに最適なモダリティを選ぶことが重要です:
- CT:急性期出血、骨折、くも膜下出血
- MRI(DWI):急性期脳梗塞、腫瘍、慢性期脳疾患の評価
DWIは特に急性期脳梗塞の診断に鋭敏であり、治療のタイミングを決定するために不可欠です。