脊髄損傷で正しいのはどれか。
- 受傷直後は尿失禁状態となる。
- 排尿筋括約筋協調不全は生じない。
- 残尿が150mLでは導尿は不要である。
- 核・核下型神経因性膀胱であれば尿道カテーテル長期留置を行う。
- 核上型神経因性膀胱であればトリガーポイントの叩打による反射性排尿を試みる。
解答解説
正解は5(核上型神経因性膀胱であればトリガーポイントの叩打による反射性排尿を試みる)です。
核上型神経因性膀胱は、脊髄損傷で中枢(仙髄より上)が障害された場合に生じます。このタイプでは反射性排尿が可能で、トリガーポイントを叩打することで排尿反射を誘発できます。一方、核・核下型神経因性膀胱では、反射機能が消失するためこの方法は使えません。
各選択肢の解説
- 受傷直後は尿失禁状態となる。
脊髄損傷の急性期には、脊髄ショックが起き、膀胱も弛緩するため尿閉(排尿困難)になることが一般的です。尿失禁状態とはなりません。この選択肢は誤りです。 - 排尿筋括約筋協調不全は生じない。
脊髄損傷では、排尿筋括約筋協調不全(排尿筋と外尿道括約筋の同期不全)が生じることがあります。このため排尿が妨げられ、残尿が増加することもあります。この選択肢は誤りです。 - 残尿が150mLでは導尿は不要である。
残尿量が100mLを超える場合、反復導尿が推奨されることが多いです。150mLの残尿では導尿が必要です。この選択肢は誤りです。 - 核・核下型神経因性膀胱であれば尿道カテーテル長期留置を行う。
核・核下型神経因性膀胱では、反射機能が低下して尿閉が生じますが、長期的な尿道カテーテル留置は感染リスクが高いため避けられます。代わりに間欠的自己導尿(CIC)が推奨されます。この選択肢は誤りです。 - 核上型神経因性膀胱であればトリガーポイントの叩打による反射性排尿を試みる。
核上型では排尿反射が残存しているため、トリガーポイント(例:恥骨上部)を刺激することで反射的な排尿を誘発できます。この選択肢は正しいです。
ワンポイントアドバイス
脊髄損傷に伴う膀胱障害は、核上型と核・核下型に分かれます:
- 核上型(反射残存):トリガーポイント刺激による反射性排尿が可能。
- 核・核下型(反射消失):間欠的自己導尿が基本的管理法。
排尿障害の管理は、感染予防や残尿量の管理が重要で、患者のQOLに大きな影響を与えるため、適切な方法を選択する必要があります。