第55回

第55回理学療法士国家試験 午後問題86

肩腱板断裂で陽性となるのはどれか。

  1. Adsonテスト
  2. drop armテスト
  3. Finkelsteinテスト
  4. Phalenテスト
  5. Thomsenテスト

解答解説

正解は2(drop armテスト)です。
drop armテストは、肩腱板(特に棘上筋)の断裂を評価する検査です。患者に上肢を外転90度で保持させ、その後ゆっくり下ろすように指示します。断裂がある場合、途中で手を制御できなくなり、腕が突然落下する陽性反応が見られます。

各選択肢の解説

  1. Adsonテスト
    Adsonテストは、胸郭出口症候群の診断に用いられる検査で、腕を外転させた際に脈拍が減弱または消失するかどうかを評価します。肩腱板断裂とは無関係です。この選択肢は誤りです。
  2. drop armテスト
    肩腱板断裂、特に棘上筋断裂を検出するための代表的な検査です。この選択肢は正しいです。
  3. Finkelsteinテスト
    Finkelsteinテストは、ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)の診断に用いられる検査で、手関節を尺側に曲げた際の母指伸筋腱周囲の痛みを評価します。肩腱板断裂とは無関係です。この選択肢は誤りです。
  4. Phalenテスト
    Phalenテストは、手根管症候群の診断に用いられる検査で、手関節を屈曲させた際の正中神経領域のしびれや痛みを評価します。肩腱板断裂とは無関係です。この選択肢は誤りです。
  5. Thomsenテスト
    Thomsenテストは、**上腕骨外側上顆炎(テニス肘)**の診断に用いられる検査で、手関節背屈時の痛みを評価します。肩腱板断裂とは無関係です。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

肩腱板断裂の評価には、drop armテスト以外にも以下の検査が有効です:

  • 空缶テスト(Jobeテスト):棘上筋の機能を評価。
  • リフトオフテスト:肩甲下筋の機能を評価。

肩関節の動きや痛みに関連する症状を診断する際、それぞれの検査の適応を覚えておくと効果的です。