第55回

第55回理学療法士国家試験 午後問題44

急性期脳血管障害に対して、積極的に離床を行ってもよいのはどの場合か。

  1. JCS3桁
  2. 重度な運動麻痺
  3. 神経症状の増悪
  4. 収縮期血圧220mmHg
  5. 重篤な全身性合併症

解答解説

正解は2(重度な運動麻痺)です。
急性期の脳血管障害では、安静が必要な場合と離床を促進すべき場合があります。重度な運動麻痺があっても、全身状態が安定しており、血圧や神経症状に悪化がなければ、早期離床を行うことが推奨されます。離床により廃用症候群を予防し、回復を促進することが可能です。

各選択肢の解説

  1. JCS3桁
    JCS3桁(意識レベルが深昏睡状態)では、離床は困難であり、早期リハビリテーションよりも全身管理が優先されます。この場合、積極的な離床は行うべきではありません。
  2. 重度な運動麻痺
    重度な運動麻痺がある場合でも、意識が清明で神経症状や血圧が安定していれば、早期離床は推奨されます。離床により筋萎縮や関節拘縮、血栓症のリスクを軽減できます。この選択肢は正しいです。
  3. 神経症状の増悪
    急性期に神経症状が増悪している場合、脳出血や脳浮腫の進行が疑われ、離床は禁忌です。この場合は、まず病態の安定化を図る必要があります。
  4. 収縮期血圧220mmHg
    収縮期血圧が220mmHgのように極端に高い場合、脳出血や脳梗塞の再発リスクが高く、安静が必要です。この場合、積極的な離床は行いません。
  5. 重篤な全身性合併症
    肺炎、心不全、腎不全などの重篤な全身性合併症がある場合、離床は患者の状態を悪化させる可能性があるため、安静が優先されます。

ワンポイントアドバイス

急性期脳血管障害では、離床のタイミングは慎重に判断する必要があります。重要なのは、意識レベル、血圧、神経症状の安定性、全身状態です。早期離床の適応がある場合でも、無理のない範囲で離床を進め、患者の安全を最優先に考慮します。