頸髄損傷の呼吸障害で正しいのはどれか。
- 肺活量は低下する。
- 咳の強さは変わらない。
- 予備吸気量は増加する。
- 予備呼気量は変わらない。
- 閉塞性換気障害が生じやすい。
解答解説
正解は1(肺活量は低下する)です。
頸髄損傷では、呼吸筋の麻痺や筋力低下によって肺活量(VC)が低下します。特に、C3-C5レベルの損傷で横隔膜が影響を受ける場合、吸気および呼気機能が著しく低下し、肺活量が減少します。横隔膜のほかに肋間筋や腹筋も影響を受けるため、呼吸補助筋の機能が低下し、全体的な換気効率が悪化します。
各選択肢の解説
- 肺活量は低下する。
頸髄損傷により呼吸筋(横隔膜、肋間筋、腹筋)が麻痺または低下することで、肺活量が減少します。これは呼吸障害の特徴であり、この選択肢は正しいです。 - 咳の強さは変わらない。
頸髄損傷では腹筋が麻痺するため、咳を効果的に行えなくなります。咳の強さは低下するため、この選択肢は誤りです。 - 予備吸気量は増加する。
予備吸気量は、主に肋間筋や呼吸補助筋の機能に依存します。頸髄損傷ではこれらの筋が影響を受けるため、予備吸気量は低下します。この選択肢は誤りです。 - 予備呼気量は変わらない。
予備呼気量は、腹筋や肋間筋の働きに依存しますが、これらの筋が頸髄損傷で麻痺するため、予備呼気量は低下します。この選択肢は誤りです。 - 閉塞性換気障害が生じやすい。
頸髄損傷では主に拘束性換気障害が生じます。肺活量や予備吸気量、予備呼気量の低下がみられますが、閉塞性換気障害(気道の狭窄などが原因)は通常みられません。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
頸髄損傷では、呼吸筋の麻痺による拘束性換気障害が特徴です。特に腹筋の麻痺は効果的な咳動作を妨げ、気道クリアランスが低下します。リハビリテーションでは、呼吸筋トレーニングや咳の補助法(腹部圧迫や呼吸器補助機器)が重要です。