第55回

第55回理学療法士国家試験 午後問題43

腰椎変性すべり症で歩行中に殿部から下肢にかけて痛みが出現したときの対応で正しいのはどれか。

  1. しゃがみこむ。
  2. 速度を速めて歩き続ける。
  3. 速度を遅くして歩き続ける。
  4. 立ち止まって体幹を伸展する。
  5. 立ち止まって体幹を左右に回旋する。

解答解説

正解は1(しゃがみこむ)です。
腰椎変性すべり症では、神経根が圧迫されることにより、歩行中に殿部から下肢にかけて間欠的に痛みが出現することがあります(間欠性跛行)。このような痛みは、体幹を屈曲することで神経圧迫が軽減されるため、しゃがみこむことが適切な対応となります。屈曲により椎間孔や脊柱管が広がり、症状が和らぎます。

各選択肢の解説

  1. しゃがみこむ。
    しゃがみこむ動作は体幹を屈曲させるため、神経の圧迫を軽減し痛みを和らげます。この対応は腰椎変性すべり症における痛みの緩和に最も効果的で、正しい選択です。
  2. 速度を速めて歩き続ける。
    速度を速めると体幹の伸展傾向が強まり、神経圧迫が悪化する可能性があります。このため、痛みを悪化させる不適切な対応です。
  3. 速度を遅くして歩き続ける。
    速度を遅くしても体幹の姿勢が変わらないため、神経の圧迫は改善されません。痛みを和らげるためには、しゃがみこむなどの体幹屈曲動作が必要です。この選択肢は不適切です。
  4. 立ち止まって体幹を伸展する。
    体幹を伸展すると神経圧迫がさらに強まり、痛みが悪化します。腰椎変性すべり症では、体幹屈曲が症状緩和に有効であり、この選択肢は不適切です。
  5. 立ち止まって体幹を左右に回旋する。
    体幹の回旋は椎間孔の広がりに寄与しないため、神経圧迫の軽減には効果がありません。この選択肢も不適切です。

ワンポイントアドバイス

腰椎変性すべり症の特徴的な症状である間欠性跛行は、体幹屈曲位で軽減されます。したがって、歩行中に痛みが出現した場合は、体幹を屈曲させる動作(しゃがみこむ、前かがみになる)を指導することが重要です。また、体幹屈曲を意識したストレッチや運動療法が症状の緩和に役立ちます。