第59回

第59回理学療法士国家試験 午前問題100

入眠困難を訴えるうつ病患者に対する睡眠衛生指導で最も適切なのはどれか。

  1. 「夕方1時間以上の昼寝をしましょう」
  2. 「できるだけ一定時刻に起床しましょう」
  3. 「就床直前にアルコール飲料を飲みましょう」
  4. 「眠くなくても一定の時刻に就床しましょう」
  5. 「入眠できなくても寝床から出ないようにしましょう」

解答解説

正解は 2. 「できるだけ一定時刻に起床しましょう」 です。

睡眠衛生指導の中で、一定の起床時刻を守ることは、不眠の改善に最も重要な要素の一つです。規則的な起床時刻を保つことで、体内時計(サーカディアンリズム)が調整され、夜間に自然な眠気が訪れやすくなります。

各選択肢の解説

  1. 「夕方1時間以上の昼寝をしましょう」
    夕方以降の長時間の昼寝は、夜間の睡眠を妨げるため不適切です。昼寝をする場合は、午後の早い時間帯に20~30分以内にとどめるべきです。この選択肢は誤りです。
  2. 「できるだけ一定時刻に起床しましょう」(正解)
    規則正しい起床時刻を守ることで、体内時計を整えることができ、不眠の改善に効果的です。特に、睡眠不足でも起床時刻を一定にすることが重要です。この選択肢が正解です。
  3. 「就床直前にアルコール飲料を飲みましょう」
    アルコールは一時的に眠りを誘う効果があるように感じることがありますが、睡眠の後半に覚醒を引き起こすため、睡眠の質を悪化させます。アルコール摂取は不眠を悪化させる可能性があるため、この選択肢は誤りです。
  4. 「眠くなくても一定の時刻に就床しましょう」
    眠くない状態で就床すると、布団の中で長時間過ごす習慣ができてしまい、「寝床=眠れない場所」として認識されることがあります。眠気を感じてから就床するのが適切です。この選択肢は誤りです。
  5. 「入眠できなくても寝床から出ないようにしましょう」
    眠れないまま布団にとどまることは逆効果で、「寝床=眠れない場所」として脳が認識してしまうことがあります。入眠できない場合は、一度起きてリラックスできる活動(読書や深呼吸など)を行い、再び眠気が訪れたら布団に戻ることが推奨されます。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

不眠症や入眠困難の改善には、以下のポイントを押さえた睡眠衛生指導が効果的です:

  • 起床時刻を一定に保つこと(体内時計を整える鍵)。
  • 眠気を感じてから就床する。
  • アルコールやカフェインの摂取を避ける。
  • 夕方以降の長時間の昼寝は避ける。
  • 寝床は「眠るだけの場所」として認識させる。

こうした基本的な睡眠習慣を指導し、患者の日常生活に取り入れてもらうことが重要です。

健康づくりのための睡眠指針2014 〜睡眠12箇条〜について

「健康づくりのための睡眠指針2014 〜睡眠12箇条〜」は、厚生労働省が策定した、睡眠を通じた健康づくりのためのガイドラインです。この指針は、日本人の睡眠に関する課題を解決し、健康的な生活を送るための具体的なアドバイスを12項目にまとめています。

以下はその概要です。

厚生労働省健康局「健康づくりのための睡眠指針 2014」https://www.mhlw.go.jp/content/001208251.pdf