第55回

第55回理学療法士国家試験 午後問題39

ランプ負荷法を用いて軽い負荷強度から最大運動強度まで運動強度を漸増した場合、運動強度に比例して直線的に増加するのはどれか。

  1. 呼吸数
  2. 酸素摂取量
  3. 分時換気量
  4. 回心拍出量
  5. 二酸化炭素排泄量

解答解説

正解は2(酸素摂取量)です。
酸素摂取量(VO₂)は、軽い運動強度から最大運動強度まで、運動強度に比例して直線的に増加します。これは、運動時にエネルギー供給のために必要な酸素量が運動強度に応じて増加するためです。運動強度が増すにつれて筋肉の酸素需要が増えるため、酸素摂取量も比例して増加します。

各選択肢の解説

  1. 呼吸数
    呼吸数は運動強度が増加するにつれて増加しますが、増加の仕方は直線的ではありません。特に、嫌気性代謝が開始される運動強度を超えると、急激な増加がみられます。
  2. 酸素摂取量
    酸素摂取量(VO₂)は運動強度に比例して直線的に増加します。最大酸素摂取量(VO₂max)に達するまで直線的に増え、VO₂maxを超えると増加が頭打ちになります。この選択肢は正しいです。
  3. 分時換気量
    分時換気量(VE)は、運動強度が低いときは酸素摂取量に比例して増加しますが、嫌気性代謝が開始されると急激に増加します。運動強度に対して直線的ではなく、非線形の増加を示します。
  4. 回心拍出量
    回心拍出量は運動強度が増加するにつれて増加しますが、心拍数の増加が顕著となる中等度の運動強度以降は、直線的ではなくなります。
  5. 二酸化炭素排泄量
    二酸化炭素排泄量(VCO₂)は、運動強度が軽度から中等度の範囲では酸素摂取量と比例して増加します。しかし、嫌気性代謝が始まると急激に増加し、非線形の増加を示します。

ワンポイントアドバイス

運動強度に応じて直線的に増加する指標は酸素摂取量(VO₂)です。運動負荷試験では、VO₂と運動強度の直線的な関係を利用して心肺機能を評価します。非線形の増加を示す他の指標(呼吸数や分時換気量など)は、運動中の生理的反応を理解するために役立ちますが、VO₂の直線性は特に重要です。