第55回

第55回理学療法士国家試験 午後問題34

多系統萎縮症に含まれるのはどれか。2つ選べ。

  1. Shy-Drager症候群
  2. 進行性核上性麻痺
  3. Friedreich失調症
  4. 大脳皮質基底核変性症
  5. オリーブ橋小脳萎縮症

解答解説

正解は1(Shy-Drager症候群)と5(オリーブ橋小脳萎縮症)です。
多系統萎縮症(Multiple System Atrophy: MSA)は、中枢神経系における変性疾患であり、自律神経症状、小脳症状、パーキンソン症状を特徴とします。MSAは以下の3つの亜型を含みます:

  • MSA-P(パーキンソン型): 主にShy-Drager症候群が該当。
  • MSA-C(小脳型): 主にオリーブ橋小脳萎縮症が該当。
  • MSA-A(自律神経障害型): 自律神経症状が顕著な場合。

各選択肢の解説

  1. Shy-Drager症候群
    Shy-Drager症候群は、重度の自律神経障害(立位性低血圧など)を伴うMSAの一亜型です。多系統萎縮症に含まれるため正解です。
  2. 進行性核上性麻痺
    進行性核上性麻痺(Progressive Supranuclear Palsy: PSP)は、大脳基底核と脳幹の特定の領域が変性する疾患であり、MSAには含まれません。主な症状は垂直方向の眼球運動障害と歩行障害です。この選択肢は誤りです。
  3. Friedreich失調症
    Friedreich失調症は、遺伝性脊髄小脳変性症の一つであり、常染色体劣性遺伝で発症します。小脳失調や末梢神経障害がみられますが、MSAには含まれません。この選択肢は誤りです。
  4. 大脳皮質基底核変性症
    大脳皮質基底核変性症(Corticobasal Degeneration: CBD)は、大脳皮質と基底核が変性する疾患で、運動障害や認知機能障害を伴いますが、MSAには含まれません。この選択肢は誤りです。
  5. オリーブ橋小脳萎縮症
    オリーブ橋小脳萎縮症(OPCA: Olivopontocerebellar Atrophy)は、小脳や橋、オリーブ核に変性がみられるMSAの一亜型であり、小脳症状が主体となります。多系統萎縮症に含まれるため正解です。

ワンポイントアドバイス

多系統萎縮症(MSA)は、進行性の神経変性疾患であり、小脳症状、自律神経障害、パーキンソン症状が多彩に現れます。他の神経変性疾患(PSPやCBDなど)と鑑別することが重要です。主な亜型(MSA-PとMSA-C)の特徴を押さえましょう。