第55回

第55回理学療法士国家試験 午後問題33

Brunnstrom法ステージの検査において、ステージと可能な随意運動の組合せで正しいのはどれか。

  1. 手指Ⅲ 座位で不十分な全指伸展
  2. 上肢Ⅲ 座位で肩関節内転・肘関節伸展・前腕回内
  3. 下肢Ⅲ 座位で膝関節屈曲位で踵を床につけたまま足関節背屈
  4. 下肢Ⅳ 立位で股関節伸展位での膝関節屈曲
  5. 下肢Ⅴ 立位で股関節外転

解答解説

正解は2(上肢Ⅲ 座位で肩関節内転・肘関節伸展・前腕回内)です。
Brunnstrom法のステージⅢでは、運動麻痺の回復段階として共同運動パターンの強調がみられます。この段階では、麻痺側の上下肢で屈曲または伸展の共同運動が可能になります。選択肢2の肩関節内転・肘関節伸展・前腕回内は、上肢の伸展共同運動パターンに該当し、正しい組み合わせです。

各選択肢の解説

  1. 手指Ⅲ 座位で不十分な全指伸展
    ステージⅢは共同運動パターンが主となる段階で、手指の屈曲が強調されます。手指の伸展運動は非常に難しく、不十分な全指伸展はステージⅢではなく、回復が進んだステージⅣ以降で可能になります。この選択肢は誤りです。
  2. 上肢Ⅲ 座位で肩関節内転・肘関節伸展・前腕回内
    ステージⅢでは、上肢の伸展共同運動パターンにより、肩関節内転・肘関節伸展・前腕回内が可能です。この運動はBrunnstrom法のステージⅢの特徴に合致しており、正しい選択肢です。
  3. 下肢Ⅲ 座位で膝関節屈曲位で踵を床につけたまま足関節背屈
    ステージⅢでは、下肢の屈曲または伸展共同運動が出現する段階です。この段階で足関節背屈のような独立した随意運動は難しいため、この選択肢は誤りです。
  4. 下肢Ⅳ 立位で股関節伸展位での膝関節屈曲
    ステージⅣは共同運動から分離運動への移行が見られる段階ですが、立位での股関節伸展位で膝関節屈曲はステージⅤ以降で可能になる動作です。この選択肢は誤りです。
  5. 下肢Ⅴ 立位で股関節外転
    ステージⅤでは分離運動がさらに進みますが、股関節外転はかなり高度な分離運動を必要とするため、通常はステージⅥ以降で可能になります。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

Brunnstrom法のステージ分類は、脳卒中などによる運動麻痺の回復過程を評価する方法です。ステージⅢでは、共同運動パターンが顕著になることを理解し、屈曲または伸展パターンに基づいた動作を正確に覚えておきましょう。この知識はリハビリ計画にも役立ちます。